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自分にピッタリの治療法を探そう!(シリーズ生理痛③)

[2021.09.29]
 

生理痛について、痛みのこと、検査や原因のこと、

前の2回のお話は分かり易かったかしら?

お話を読んで、自分の身体について、

少しでも考えるきっかけになっていたら嬉しいです。

生理痛について3回目の今回は、治療について書きたいと思います。

 

生理痛の治療は主に、

  1. 痛みどめ(鎮痛剤)
  2. 低容量ピル
  3. 漢方薬
  4. 子宮内ホルモン放出システム(ミレーナ)
  5. 上記の組み合わせ
  6. ジェノゲスト(子宮内膜症治療剤)

 

です。

そして最後に、「いつまで続けたら良いの?」という点も説明します。

では、順番に説明していきましょう。

 

1 .痛みどめ

一般の薬局で売られているのは、ロキソニン、イブ、バファリンなど。

おなじみの名前もあり、皆さんも使ったことがあるんじゃないかな。

 

病院で処方されるお薬にもロキソニンはあるし、バファリンと同じ成分のお薬もあります。

 

中身の成分に違いはなく、保険診療で処方しているかどうかの違いで病院で処方する方がお薬のお値段は安くなります。

 

一言で痛み止めと言っても、痛みをブロックする方法(薬の作用機序)には、それぞれのお薬で特徴があります。人によっては、痛み止めによって胃痛が出たりすることもあります。

 

毎月使うかもしれないお薬なので、相性の良いお薬を見つける事が大切です。

 

痛みどめには色んな種類があるけれど、どの薬にも言えることは、

 

強い生理痛が発生して、「今が1番最悪に痛い!」という状態になってから飲んでも効果が弱いと言うことです。

 

毎回の生理痛が辛いと言う人は、「痛い!最悪!」となる前に、生理が始まったら決まった時間に飲むようにする方がオススメですよ。

 

2.低容量ピル

ピルとは、本来自分から出ている2種類の女性ホルモンと似た成分がごく少量含まれているお薬です。

 

外から少量入ってくるホルモンのお陰で、自分の脳と卵巣はコントロールされて、自力では排卵が起きなくなります。

 

排卵が起きないと女性ホルモンの働きがゆるやかになり、本来なら生理の時に厚くなるはずだった子宮内膜は薄くなります。

 

子宮内膜が薄くなることで生理の時の血の量が減ること、子宮内膜では痛みの原因となる成分(プロスタグランジン)が作られているので、それが減る事で生理痛が軽くなる、と言う仕組みです。

 

ピルにも色々な種類があり、詳しくはピルについてのお話でまとめますが、飲む日数、お薬代、生理痛以外の症状に対する効果の違いなど、ちょっとずつ特徴があります。

 

生理痛を抑えてくれること以外にも、お肌の調子(ニキビへの影響)や、むくみが出やすい出にくい、など、薬の種類によって色んな特徴があります。

 

クリニックや病院によって取り扱いのある薬とない薬が違うこともあるので、担当の先生と相談して、良さそうなお薬を先ずは試してみて、相性を確かめてみるのが良いです。

 

ピルの良い点は、一番は生理痛がコントロール出来る点ですが、他にもメリットがいくつかあります。

 

・月経前緊張症(PMS)が改善する

生理前のイライラや気分の落ち込み、異常な眠気などが特徴の月経前緊張症(PMS)が無くなったり、良くなったりする点です。

 

・将来の子宮内膜症や不妊症の予防になるかもしれない

生理痛が辛い人の中には、現時点でお腹の中に病気が見つからなくても、将来的に子宮内膜症になったりする人も多くいて、その発症を予防したり、進行を止めたりすることも出来ます。

 

いまの生活も快適になるし、将来の病気や不妊の予防にもなり得るわけです。

 

 

でも、おちび先生、副作用とかはないの?飲んでも大丈夫?

 

そうね、どんなお薬にも副作用がある様に、ピルにも副作用があるわね。

むくみが出る、とか、お胸が張るなどもありますが、

一番注意が必要なのは、深部静脈血栓症と言って、

足の細い血管が詰まってしまう病気です。

 

え〜、なんだか怖いよぅ。

生理痛が良くなるのは嬉しいけど、怖い副作用は嫌だよぅ。

 

うんうん、そうだよね、

でもね、そんなに心配しなくて大丈夫なのよ。

詳しくはピルの記事で書きますが、頻度としては交通事故に遭うよりも低く、今はとっても安全になっています。

 

一般的な他のお薬と比べて、特別に危険という訳ではないし、使用することによって得られる事がいっぱいあります。

 

安心して、試してみる価値のあるお薬です。

注意:低容量ピルは、40歳以上の女子は慎重投与です。他の治療を選択するか、先生と相談しながら一緒に考えるのが良いと思います。

3.漢方薬

体が冷えていたり、代謝が悪いと生理痛が辛くなることが知られています。

 

反対に身体を温めると生理痛は軽くなることが知られています。

 

漢方薬には冷えを改善する効果があり、継続して飲むことで身体の冷えが改善して生理痛が軽くなると言う仕組みです。

 

漢方薬は苦くて飲み難いという人も居るけれど、「生理痛が軽くなった!」と言う人もたくさんいます。最大の特徴は、目立った副作用がないこと。

 

相性が合う漢方薬があれば、ずっと継続できる良いお薬です。

 

痛み止めやピルと平行して使うことも可能です。

 

4.子宮内ホルモン放出システム(商品名:ミレーナ)

システムなんて名前がついて、なんだか大掛かりなものを想像してしまうかもしれませんね。

 

子宮内ホルモン放出システムは、下の写真の様なアルファベットのYの形の器具です。

大きさは約4~5cmで、白い部分の太さは、つまようじくらいです。

出典:バイエル薬品株式会社

 

ミレーナを子宮内に入れると、ここからホルモン剤がゆっくりゆっくりと持続的に放出されます。(約5年間)

 

生理が終わると卵巣は排卵に向かって活動し、排卵から生理に至る過程で、子宮の内膜は分厚くなったり、剥がれて無くなったりを繰り返しています。

(生理や排卵の説明は、別の記事で読んでみて下さいね^ ^)

 

ミレーナを入れている間、自分の排卵や生理は起きますが、ミレーナから放出されるホルモンのお陰で、本来厚くなるはずの子宮の内膜は通常よりも薄くなります。

 

薄くなることで、出血量が減る、内膜から出る痛みの原因成分が減る、と言う仕組みで生理痛や過多月経が改善します。

出典:バイエル薬品株式会社

 

ミレーナのメリットは、

 

・飲み薬みたいに毎日飲まなくて良いこと。

・生理痛が軽くなったり、過多月経が改善すること。

・避妊の効果もあること。

・ピルなどと比較するとコストパフォーマンスが良いこと。(費用対効果が高い)

 

毎日の飲み薬だと、どうしても忘れたりしちゃうもの。

 

それに比べてミレーナは、入れた後は最長5年間、入れっぱなしにしておけば良いので、とっても楽なのです。

 

海外では、避妊具として既にとってもポピュラーでたくさんの女性が使用しています。

 

日本では、月経困難症、過多月経に対する治療法として保険適応が認められ、およそ12000円で挿入することが出来ます。避妊具として自費で挿入することも可能です。

 

ピルを1ヶ月処方して、診察料などと合わせると、2000円から3000円くらい。

 

5年間で12000円のミレーナの方がお安いのは一目瞭然ですね。

 

ちょっと注意なのは、ごく稀に(5%くらいの人)、途中で抜けちゃったりすることもあり、(子宮筋腫や子宮腺筋症などで子宮の形が正常ではない方に起き易いです)

 

主治医の先生に超音波(エコー)などで子宮の状態を確認して貰い、自分がミレーナに向いているかどうか、診断して貰うのが大切です。

 

5. 上記の組み合わせ

ここまで書いた治療は、一部は組み合わせて使うことも出来ます。

 

痛み止めと漢方薬、痛み止めとピル、痛み止めとミレーナ、ピルと漢方薬、という感じです。

 

一つだけだと体調が完全でない場合は、補って使うことで、生理中や生理前後の不調を絶好調に出来るかもしれません。

 

お薬を使い始めて、担当の先生に「具合はどうですか?」と聞かれたら、もっと良くしたい点を伝えてみて下さい。

 

症状に合わせて、お薬や作戦を変更したり、組み合わせを変えたり、ベストな状態になる様に相談する事が大切です。

 

6. ジェノゲスト(子宮内膜症治療剤、子宮腺筋症に伴う疼痛改善治療剤)

 

検査をして、子宮内膜症、とか、子宮腺筋症があるね、と診断された女子のみにはなるけれど、ジェノゲストというお薬もあります。

 

詳しくは、子宮内膜症の投稿で詳しく書く予定ですが、ピルとは違った方法で、生理痛を辛くする子宮内膜症という病気を改善したり、痛みを軽くしてくれるお薬です。

 

診察をして、原因がはっきりした女子には、とても良いお薬の一つです。

 

 

さてさて、色んな治療法を紹介しました。

最後に「生理痛の治療はいつまで続けるの?」についてもふれておきます。

 

ピルやミレーナは避妊の効果があるので、赤ちゃんが欲しくなった時には終了しなければ妊娠できないので、その時点が休薬やミレーナを抜く時期になります。

痛み止めや漢方薬は妊娠を目指していても使用出来るので、ずっと続ける事が出来ます。

 

年齢に関わらず、生理痛がずっと辛い女子は、一生のお付き合いになるかもしれません。

 

でも、お薬を使ったり、自分の病気の状態や新しい病気を確認しながら、大切な時期までメンテナンスしていけば、生理痛とも気楽に付き合えるし、将来の不妊症の予防も出来るかもしれないのです。

 

しつこいですが、最後にもう一度!

 

私が本当に大きな声で伝えたい事は生理痛はがまんしなくて良いってこと!

 

生理痛によって、楽しいはずの学生生活、集中できるはずのお仕事や家事が出来なくなる、そんな事は、無し無しの無し!なのです。

 

生理は毎月やって来る、なのに毎月辛いなんて、そんなの大損です!

 

 

このお話を読んで、「辛い生理痛から解放されよう」と思い立ってくれる女子が、どうか増えますように。

最後まで読んでくれて、ありがとうございます^ ^

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