ピルの良い点&注意点(ピルのお話②)
ピルのお話、
第1回目は分かり易かったかな?
今回はピルの良い点と注意点を
お話するよ〜
ピルの良い点
- 高い避妊効果がある
- 生理痛・過多月経の改善
- PMS(月経前緊張症のこと:生理前のイライラ、精神的な不安点、体調不良など)の改善
- 子宮内膜症などの婦人科の病気を改善したり、進行を遅らせる事が出来る
- ニキビの改善
- 生理の時期を調整できる
- 好きな時に開始して、やめたい時にやめられる
順番に説明してみましょう^ ^
1. 高い避妊効果がある
日本で主流な避妊方法は、ピル、コンドーム、子宮内ホルモン放出装置、などです。
その中でも、女子が自分の意志で積極的な避妊を行える点がピルの良い所です。
詳しくはピルのお話③で説明しますが、ピルを内服するとピルの中に含まれるホルモンの働きによって、排卵は起きなくなります。
排卵が起きないと妊娠はしませんので、これがピルを飲むと避妊出来る仕組みです。
コンドームは相手にお願いしたけどして貰えなかった、とか、ストックが無くなっていたけどラブラブな雰囲気を壊したくなくてコンドームなしでしてしまった、つけたけど破れてしまった、とか、女子が自分だけではコントロールしきれない、色んなトラブルが起きやすいものです。
ピルは飲み忘れなどがない限り、高い確率(ほぼ100%と言われています)で望まない妊娠を予防する事が出来ます。
2. 生理痛・過多月経の改善
ピルを内服すると、ピルに含まれるホルモンの働きによって、生理の日数は2〜3日と短くなり、量も非常に少なくなります。
このお陰で、過多月経で悩まされていた女子は月経量が減ってラクになり、生理痛で悩まされていた女子は生理痛が軽くなります。
3. PMSの改善
ホルモンのバランスが生理前に変化する事によって起きる、生理前のイライラ、気分の落ち込み、不眠や体調不良はPMS(月経前緊張症)と言われる女子特有の心と体の変化です。
PMSに効果がある種類のピルを内服すると、ホルモンバランスの変化がなくなるか緩やかになるので、PMSは改善します。
生理前や生理中もいつもと同じく元気でいたい、仕事や勉強に集中したい、と望む女子には嬉しい効果ですね^ ^
4. 子宮内膜症などの婦人科の病気を改善したり、進行を遅らせる事が出来る
生理痛が辛くて産婦人科に相談に来てもらうと、一部の女子に子宮内膜症などの病気が見つかる事があります。
こうした病気は女性ホルモンを糧に大きくなったり悪化する性質があります。
ピルを飲むと、排卵がなくなり、女性ホルモンの活動が緩やかになります。
そのお陰で、こうした病気が改善したり、悪化するスピードを遅くしたりする事が出来ます。
5. ニキビの改善
生理周期によって、ホルモンバランスは大きく変化しています。
それに伴う、肌荒れやにきびは、男性ホルモンを抑制するタイプのピルや超低用量ピルを内服すると改善します。
6. 生理の時期を調整できる
ピルのお話①でご説明した通り、ピルを飲んでいる女子は、21日タイプのピルなら内服のお休み期間に、28日タイプのピルならシートの最後の列の期間に、出血(生理)が起きます。
一定の決まった時期に生理が来るのが分かるので、お薬を飲むタイミングを調整すれば、大切な試験や行事、旅行などの時に生理が来ない様にする事も可能です。
6. 好きな時に開始して、好きな時にやめて良い
ピルは一度開始したら、ずっと続けなければいけないお薬ではありません。
(注意:子宮内膜症などの病気を指摘されて内服している女子は主治医の先生と相談が必要です)
特に病気がなく、生理痛予防やPMSの改善のために内服している女子は、結婚して妊娠したいなと思ったタイミングでやめれば良いのです。
ピルを内服していたから妊娠し難くなる、と言うことはないので安心して下さいね。
ピルって、
本当に色々なメリットがあるのよね
ピルの注意点
ピルは非常に良いお薬ですが、お薬はお薬なので、注意するべき副作用もあります。
また、誰もが飲んでも安全、という訳ではなく、内服をする前には確認すべき事が色々とあります。
順番に説明するね
ちゃんと確認してから
飲んでみてね
注意するべき副作用
ピルの副作用で一番心配なのは血栓症という病気です。
血栓症とは、血管の中で、血が塊になって、栓をしてしまう=つまってしまう病気です。
足に出来た血栓(足の深部静脈血栓症)が血液の流れに乗って肺につまってしまうと肺梗塞という病気になり、ごく稀ですが死亡する場合もあります。
ピルは血栓症の確率を2~3倍にすると言われています。
こんな風にお話すると、とても怖そうに思うかもしれませんが、アメリカでのピルによる血栓症の頻度は年間1万人に3人、カナダではと年間10万人に1人、いうデータがあります。
また、妊娠中や産後12週間の血栓症を発症する確率は1万人に40~65人というデータもあります。
これはつまり、低用量ピルを服用している時よりも、妊娠中や産後の方が血栓症が起きる頻度が高いということです。
そして、日本で原付バイクによる交通事故の死傷者数は年間1万人に3人、自転車による交通事故の死傷者数は年間1万人に8人でした(2017年)
副作用の頻度を聞いて、その危険度をどれくらい高い、怖いと感じるのかは人それぞれだと思いますが、体感するピル内服による血栓症の頻度は交通事故と同じくらいか、それよりも低く、妊娠よりははるかに低いという事です。
また、もし万が一、血栓症が起きたとしても、それが重症な肺塞栓に発展するのはごく1割と言われており、早期に治療すれば済む事が多いのです。
こんな風にお話すると、怖そうだなって思う女子もいるかもしれませんね。
でも、内服前の確認や内服中の管理を
ちゃんと行う事で安全に飲む事が出来ますよ。
まずは、内服前の確認をしましょうね。
通常、産婦人科でピルを処方する前には、ピル内服前のチェックリストに記入をして貰います。
血栓症を起こしやすい体質の方がどうか、お薬を出しても安全かどうか、きちんと確認してから処方をします。
詳しくは、受診した産婦人科で確認して欲しいのですが、抜粋すると以下のような項目を確認しています。
血栓症を予防するために内服前に確認して欲しいこと
- 年齢(35才以上かどうか)
- タバコを吸うかどうか
- 低用量ピル・女性ホルモン剤のアレルギー歴
- 乳がん・子宮がん、その他のがんの歴
- 手術前後かどうか
- 産後かどうか
- 長期安静状態かどうか
- 激しい頭痛や片頭痛や目がかすむ事があるか
- 妊娠の可能性があるか
- 現在、授乳中かどうか
- 高血圧かどうか
- 胆道疾患や肝障害があるか
- 高脂血症があるか
など、その他、大きな病気の歴なども詳しくお聞きしています。
こんな症状があったら注意して下さい
- 頭痛
- 胸が痛い
- 息苦しい
- めまい
- ふくらはぎが痛い
- 足の片方だけが太く浮腫んでいる
- 急に目が見え難い
こんな症状があったら、血栓症の可能性が考えられます。
ピルを飲むのを中止して、直ぐにかかりつけの病院に連絡をしてアドバイスを貰って下さい。
血栓症は足の血管の中の血の流れがよどむと出来やすいので、
ピルを飲んでいる女子はよく水分をとること、
長時間じっと同じ姿勢でいないことが大切です。
その他、重症ではないけどよくある副作用
- 吐き気
- 全身がだるい
- 頭痛
- 胸が張る
- むくみ
- 不正出血
乗り物酔いの様な気持ち悪さ、頭痛、胸のはり、むくみなどはよくある副作用です。
体調が変化するので心配になってしまうかもしれませんが、段々と慣れてなくなっていきます。
2~3ヶ月で落ち着いて問題なく継続できる場合がほとんどです。
でも、合わないな、辛いなと思ったら、遠慮せずに主治医の先生に相談してみて下さいね。
ピルは結構、相性もあるの。
試したお薬が合わなかったら、
産婦人科の先生と一緒に
自分に合うお薬を探してみてね。
不正出血と言って、決まった時期以外に出血が起きる事もあります。
また、出血が起きるよ、と言われている時期になっても出血が起きない、生理が全く起きない、という事もあります。
ピルの飲み始めはホルモンバランスが不安定なので色々な副作用が起きますが、3ヶ月程度で安定すると段々と減っていきます。
さてさて、以上、ピルの良い点&注意点について、でした。
ちょっと難しかったかしら。。
今日のお話がピルが必要な全ての女子の
お役に立つと嬉しいです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございます^ ^