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2.生理不順の原因、病院で行う検査と費用(生理不順のお話②)

[2023.02.04]
 

生理不順があると心配なのは、

 

放っておいて良いのかな?

将来妊娠を望んだ時に妊娠し難いのかな?

 

という点ではないかしら。

排卵や生理の過程で放出されている女性ホルモンには、排卵・生理・妊娠などの他に、女性の身体に関係する大切な働きがあるので、その働きが十分でないと女子の身体にとって、あまり良くない事が色々とあります。

女性ホルモンは骨を作ったり、思春期の女子であれば女性らしい身体を作ったり、子宮の成熟においても重要なホルモンで、女性の一生の健康にとって、とても大切な仕事をたくさん担っています。

生理不順があっても、表面上、特に困っていなければ放置しても良さそうに感じるかもしれませんが、女性ホルモンが不足したまま放置すると、これらの働きが十分に果たされません。

妊娠の希望がある場合はもちろん、今すぐに妊娠の希望がなくても、女性ホルモンが不足していることは、とても重大な問題なのです。

では、生理不順の原因について、代表的なものを説明していきましょう。

・初めて生理が始まった女子や10〜20代の女子

初めて生理が始まった女子や10代の女子は、卵巣がまだ未熟なので、リズム良く排卵が起きない事はよくあり、その結果、生理が不規則になってしまう事はよくあります。

卵巣が未熟なことによる生理不順は、根本的に問題がなければ、20代半ばくらいには落ち着いて、放って置いても自然に規則的になるケースも多いです。

ただ、生理周期が40日以上だったり、数ヶ月あく事もあるという女子は、原因となる疾患がある可能性が高い事や、女性ホルモンの働きを十分に受け取れていない可能性があるので、早めに産婦人科に相談に行った方が良いと思います。

・多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせい らんそう しょうこうぐん)

生まれ持って、人と比較してより多くの卵を卵巣の中に持っていると言う疾患で、血液検査や画像の検査、症状などの診断基準を満たした場合に診断されます。

症候群と名前が付いていますが、“生まれ持って胃腸が弱い”とか“乗り物に酔い易い”などの体質に似た病態です。

特別な卵巣の性格みたいなものだと思って頂くと分かり易いかもしれません。

リズムよく排卵と生理が起き難い方が多く、生理不順の原因として頻度の高い疾患です。

たくさん卵があって良さそうに聞こえますが、妊娠を望んだ場合に妊娠が難しい事も多く、診断がついた場合は一生に渡ってお付き合いが必要と言える疾患です。

排卵はし難い事が多いのですが、女性ホルモンは一定量が保たれており、妊娠の希望がなければ比較的対処がし易い疾患でもあります。

 

妊娠の希望がある場合も、今は多くの良いお薬があり、

妊娠が可能ですから安心して下さい。

・体重減少や激しめの運動、ストレスによる生理不順

ダイエットをして体重を急激に落としたり、部活や趣味、時にはご職業の関係で激しめの運動をしたり、勉強や仕事、人間関係などで強いストレスを感じる様な状況の時にも、生理不順は起きます。

深刻な場合は、排卵や生理が来なくなるだけでなく、女性ホルモン自体が出なくなる事もあります。

妊娠は女性の体にとって、とても大きな負担があります。

体重減少などが原因で心や体がピンチの人が妊娠してしまい、生命的な危機が起きない様に、脳は排卵を起こしても大丈夫そうか、妊娠が成立しても大丈夫そうか、体調を見てパトロールしています。

なので、体調が明らかに変化した場合、脳は排卵が起きない様にストップをかける命令を出すので、結果的に生理不順が起きます。

体重減少による生理不順や無月経は、あまりに長期間(個人差はありますが、5年以上が目安と考えられています)継続して発生してしまうと、将来妊娠したいと思った時に難しくなる事も多く、注意が必要です。

最近は、若い女子の体に対する理想のイメージがどんどん細くなっているせいで、痩せ過ぎの女子が増えています。

 

痩せ過ぎは生理不順だけでなく、妊娠中の合併症が増えたり、

胎児の体重増加が増えにくいなど、必要以上に体重を減らす事による

自分自身や妊娠中の胎児への心配事が増えています。

生理不順が起きていて、かつ、上記の様な思い当たる状況がある場合は、早めに産婦人科に相談に来て下さいね。

・高プロラクチン血症

プロラクチンとは、母乳を作るためのホルモンです。

出産後に放出されるプロラクチンは、排卵を抑制する働きがあります。

高プロラクチン状態は、排卵まで時間がかかったり全く排卵が起きない様に作用する為、結果的に生理が遅れたり来なかったりする原因となります。

出産直後のお母さんは非常に忙しく大変なので、新たな妊娠が発生したら、とんでもない事態です。

ですから、母乳をあげている内は排卵を起こさない様にしようと言う、神様が考えたシステムだと思います。(お医者さんのくせに神様なんて言ったら、笑われるでしょうか笑 でも、それくらいよく出来たシステムだと思います。)

時に、出産後ではないのにプロラクチン値が高くなってしまう方がいます。

また、内科や精神科で出されるお薬の中には、高プロラクチン血症を起こすものもあるので、自分の内服薬にも注意してみると良いでしょう。

乳首の周辺をギューっと摘んで押した時にうっすらと乳汁が出る事もあり、その様な場合は高プロラクチン血症を強く疑いますので産婦人科へ相談に行きましょう。

・更年期の生理不順

40才前後になると、生理周期が乱れ始めることがよくあります。

急に周期が短くなったり、多量ではないけど出血が止まらずダラダラ続いたり、1ヶ月の間に何度も出血したり、、、

個人差はありますが、その様な生理不順と重なって更年期症状が始まる方もいます。

生理周期が少しずつ乱れた後、だんだんと生理の間隔が長くなり、55才くらいまでにはほとんどの人が生理がなくなり、閉経という状態になります。

40才前後の更年期世代の生理不順は、年齢的な自然な変化である場合もあります。

産婦人科で行う検査

  • 超音波(内診で経膣的に調べるタイプと、お腹から診るタイプがあります):1500円くらい
  • ホルモン値の検査(血液検査):2000〜2500円くらい
  • 初診料:800円くらい(再診の場合は安くなります)

超音波は、深刻な病気が隠れていないか、子宮筋腫やポリープなどの婦人科の病気がないか、子宮や卵巣に生まれ持って特別な特徴がないか、などを調べる事が出来ます。

超音波は膣に器具を入れて行うタイプ(経膣超音波)に関しては、思春期の女子や内診に抵抗がある方、性交渉が未経験な方は無理に行わなくても良く、先ずはお腹に超音波を当てるだけの抵抗の少ない検査を行い、必要に応じてご相談をさせて頂く事も多いです。

血液検査は、ホルモンの状態を確認する事によって、何が原因で生理不順が起きているかを探るヒントになります。

子宮がん検診は必ずしも必要ではありませんが、性交渉の経験がある方は、内診の際に一緒に検査をしておくと安心でしょう。

検査を通して、経過観察が可能か、もしくは積極的な治療が必要かどうか、将来に向けてやっておく必要がある事はないか、などを明らかにし、女子の一生について不利益がない様にする事が出来ます。

少し難しい回でしたが、いかがだったでしょうか?

次の回では、生理不順の治療についてお話しします。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました。

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