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妊娠に向けてのご相談:不妊検査と不妊治療

こちらでは、主に妊娠を希望する方々にお役に立つ情報と当院で行っている不妊外来についてご説明します。

下記の様な流れで説明していきます。

それぞれのコーナーに直接とべるので、既に基礎的な知識をお持ちだったり、当院で行っている検査や治療のことを先に知りたい方は、前半を読まずに進んで頂いても大丈夫です。

**いろいろ知識&大切に考えて欲しいこと**

  1. AMHについて:卵子の老化って何ですか?
  2. 男性が精子の状態を良好にするためにお勧めしたいこと
  3. こんな症状がある方は、妊娠が難しい可能性があります
  4. セックスと夫婦関係にについて考えてみましょう 

①不妊外来において、当院が大切にしていること&当院の役割について

・当院が大切にしていること

ホームページの最初の部分でもお話ししていますが、不妊治療において一番のゴールは妊娠が成立することなのは間違いありません。どのクリニックでも、妊娠率を上げるにはどうしたら良いか、どうしたら最短で妊娠できるか、不妊治療に携わる医療者は日夜、必死で勉強し診療にあたっています。

でも、

  • 妊娠を希望して既にご自身達でチャレンジをしているのになかなか妊娠しない、早く妊娠したいから積極的に不妊治療をしたい
  • 今すぐではないけど、近い将来に妊娠を希望している、そろそろ相談や検査をしてみたい
  • まだまだ妊娠の希望は先、でもいつかは妊娠を考えている、待っていても大丈夫なのかな?
  • 妊娠について、ちょっと心配な症状や思い当たることがあるから調べておきたい
  • 赤ちゃんは欲しいけど、不妊治療をしても夫婦関係は良好でいられるかしら?

など、妊娠についての温度感や心配ごとは、皆さんそれぞれに違っています。

もう十分に長期間に渡ってご自身達で妊娠にチャレンジしてきたカップルとまだ妊娠にチャレンジして日が浅いカップルでは、治療を開始するスタート時点でご提案は異なります。また、検査を行うかどうかも迷っているから相談して決めたい、という方もおられるでしょう。

ですから当院ではまず、

妊娠についての希望をよくヒアリングすることを大切にしています。

具体的には、ご自身とパートナーはどんな考えと温度感なのか、どんな風に進めていきたいか、初診では少し長めにお時間を取ってお聞きします。検査を行った後は、統計的なデータやご自身達の検査結果をお示ししながら、どんな風に進めるのが良さそうか、どんな時間の使い方が良さそうかをご相談の上、一緒に方針を決めていきます。出来たら、カップルお二人でお越し頂くのが良いと思います。

「ただ相談に行くだけ行きたいけど、いっぱい検査や治療を勧められそうで、相談に行きにくい」というお声もよく耳にします。患者さんの背景によっては積極的に検査や治療を勧めざるを得ないことも起こりますが、それ以外の方は、もちろんご相談だけでも大丈夫です。

また一方で、「体外受精はまだ考え中だけど、それ以外は積極的に検査や治療を受けてみたい」という方も非常に多いです。当院では、不妊専門のクリニックで行われている基本的な検査(子宮卵管造影、精液検査を含む)、人工授精を含めた一般的な不妊治療(タイミング療法、人工授精)、自力で排卵が難しい方に対しては内服薬や注射薬を用いた排卵誘発、など、
体外受精に進む一歩前までの不妊検査と治療を一通り受けて頂けます。

相談だけしたいから不妊専門のクリニックに相談に行くには少しハードルが高いなと感じる方にも、近所の通い易い所で基本の検査と治療を一通りやってから体外受精を考えたいという方にも、お役立て頂きたいと思います。

妊娠のご相談で初めて受診される方においては、検査や治療がどの様に進められていくのか、心配や不安を感じる方も多いと思います。また、難しい内容も多く含まれるので、気後れしてついて行けない気持ちになったり、いまご自身がどこの地点に居るのか方向性を見失ってしまう方も多いです。色々な情報が飛び交うので、気持ちばかりが焦ってしまう事もあるでしょう。

ですから、その都度その都度、疑問に思うことや不安な点を医師や看護師に聞いて頂き、歩いたり立ち止まったりしながら、ご自身達のペースで進んで行くお手伝いが出来たら幸いです。

・妊娠を考える方における当院の役割

当院は小さなクリニックながら、不妊の基本的な検査を一通りしっかりと受けて頂けます。

検査の中には、子宮卵管造影(正確に卵管の通過性が分かる、X線を使用した検査)や精液検査のように、不妊専門クリニックや泌尿器科、大学病院などで行っている専門的な検査も含まれます。

この様な基本的な検査を一通り行い、タイミング療法や人工授精など一般的な不妊治療をチャレンジすれば妊娠が可能かどうかを見極めることは、とても大切です。

この後の“妊娠のしくみ”や“不妊の原因”のコーナーでもご説明しますが、卵管が通っていない、精子の数が少ない又は一つも見つからない、という根本的な不妊原因がある状況では、一般的な方法で妊娠にチャレンジしても妊娠しないからです。

不妊治療は、妊娠が成立しないと段階的に高度になっていきますが、一番高度で結果が出やすい治療を体外受精と言います。上記のような状況のカップルには、速やかに体外受精が可能な施設にご紹介する必要があります。卵管に問題がある方は、専門機関での手術をお勧めする事も出来ます。

当院は、気楽にご相談に来て頂ける末端のクリニックとして基本的な検査や治療を行うと共に、それぞれのカップルのご年齢や検査結果などの背景を考慮して、一般的な不妊治療を進めて問題ないか、どれくらいの期間チャレンジするのが妥当かを検討し、必要な方に適切なタイミングで体外受精が可能な施設にご紹介する橋渡しの役割を担っていきたいと考えています。

②どれくらい妊娠しなかったら「不妊」というのでしょう?病院に相談に行くタイミングは?

不妊とは?
「妊娠を望み1年以上、夫婦生活を営んでも妊娠しない場合」を不妊と呼びます。
また、不妊症という診断基準がある訳ではなく、1年以上妊娠しない状態を不妊と呼びます。

日本では“約6組に1組が不妊症における何らかの検査および治療を行っている”とされていますので、決して珍しい事ではありません。

最近では晩婚化が進んでいる影響で、妊娠にチャレンジし始める年齢もどんどん高齢化しています。妊娠率と女性の年齢は密接な関係があり、35歳を過ぎると妊娠率は急激に低下を始め、38歳を過ぎるともっと低下が顕著になります。ですから、クリニックや病院に相談に行くタイミングは、患者さんのご年齢によってそれぞれに異なります。

生理周期をアプリや日記で記録してご自身達で排卵日を狙って性生活をしてみたり、意識して性生活の頻度を増やすなどのチャレンジをしているにも関わらず1年経っても妊娠しない場合は、相談に行くタイミングでしょう。

女性の年齢が35歳を過ぎていたり、婦人科の病気を指摘されている場合、生理痛がひどい方、生理の際の出血量が多い方、生理周期が不順な方、過去にクラミジアなどの性感染症に罹ったことがある方、など、ご自身で妊娠について不安な点が思い当たる方は、1年を待たずに早めに相談に行きましょう。

③妊娠の基礎知識:妊娠のしくみと生理周期に伴う女性の体のしくみ

  • 妊娠のしくみ:下の図は、自然妊娠のしくみを表わしたものです。

妊娠は、この様な奇跡的なステップを一つ一つクリアして、初めて成功します。
このステップのどこかに一つでも異常があれば妊娠は難しくなります。
この妊娠のステップの、どこに原因があるのかを調べるのが不妊検査です。
また、主な原因と考えられるポイントについて治療を行うのが、不妊治療です。

・生理周期に伴う女性の体のしくみ

こちらでは、生理周期に伴って、女性の身体の中で起こっていることを説明します。
女性は生理周期のそれぞれの時期によって、卵巣や子宮に変化があり、ホルモンのバランスも変化し、おりものや気分の変調も起こります。
(こちらでは生理周期が最も一般的な28日の方の場合を例にお示ししています。)

下記の図や説明からも分かる通り、人間の場合いつでも妊娠が可能という訳ではなく、排卵日の前後だけが妊娠がし易い時期になります。
(この記事をお読みの方は「そんなの当たり前でしょ?」と思っている方が多いかもしれませんが、実は意外と知らない方も多いのです。特に男性は、排卵日を知らない方もまだまだいらっしゃいます。)

ご自身で性交渉を持つ場合は、この排卵日の前後で性交渉を持つと妊娠し易いでしょう。
この図では28日周期だから大体14日目が排卵日となっていますが、生理周期は皆さんそれぞれですから、アプリや基礎体温を利用して排卵予定日を割り出すと良いでしょう。

生理周期の時期によって刻々と異なる現象が起きていることを理解すると、不妊の基本検査について理解し易くなるので、良かったらこの後の細かな説明の部分も読んでみて下さい。

月経期〜卵胞期

① 月経のはじめころ(開始から1〜5日目くらい)は、卵巣にある卵子は小さく未熟な状態です。脳から卵胞を育てるFSH(卵胞刺激ホルモン)というホルモンが出て、卵巣に働きかけ、卵胞を育てます。

② 卵胞は生理周期が進むにつれて徐々に育っていき、それに伴ってエストロゲンというホルモンが出ます。卵胞の成長に伴って増えていくエストロゲンは子宮内膜にも作用します。子宮内膜も卵を迎える準備をして、徐々に厚くなっていきます。

排卵期

③ 卵胞が成長するとエストロゲンの量がある一定量まで増えてピークに達します。すると脳は「卵が十分に大きくなったんだな、排卵させて良い頃合いなんだな」と察知して、LH(黄体化ホルモン)というホルモンを出します。LHは、卵巣に「排卵してね」という命令をするホルモンです。LHがでると、卵巣で排卵が起こります。これをLHサージと呼んでいます。目玉焼きを作る時に卵をパカっと割ると、白身と黄身が出てくる光景を思い出してみて下さい。人間の卵も「排卵」という名前の通り、卵の殻が割れて、中身がお腹の中に放出されます。排卵された卵子は、卵管采(らんかんさい)という卵管の先にある器官によってキャッチされ、卵管内に取り込まれます。

黄体期

④ 排卵を終えた卵胞は黄体となり、プロゲステロンという妊娠を維持させるためのホルモンがでます。

⑤ 妊娠が成立した場合はプロゲステロンが出続けますが、妊娠していなかった場合、黄体は退縮し生理おこります。

*基礎体温では①〜③が低温相、排卵が起きると体温が上がる始め、④〜⑤が高温相となります。
* 月経から次の月経までを「1周期」「1クール」「1サイクル」などと呼びます。
*この様に、生理周期に合わせて女性の体は変化するので、不妊検査もこの周期に合わせて適切な時期に適切な検査を行う必要があります。詳しくは検査の所でご説明します。

④不妊の原因

  1. 排卵ができない、排卵が一定でない(排卵障害)
  2. 卵管が通っていない(卵管障害)
  3. 精子を作る機能や精子の通り道に問題がある(男性因子)
  4. 卵巣の原因(加齢、卵巣予備能低下)
  5. 子宮の形の問題、子宮内膜が厚くならない、子宮筋腫や内膜症などの婦人科疾患がある(子宮因子)
  6. 受精卵が子宮内膜に着床できない(着床障害)
  7. 子宮頸管から出る頸管粘液に問題がある(子宮頸管因子)
  8. 精子の動きを妨げる抗体のために自然妊娠が難しい(抗精子抗体)
  9. 勃起障害、射精障害など、その他、双方で何らかの理由があり性行為ができない(性交障害)
  10. 原因不明:排卵した卵子を卵管采でキャッチできない(キャッチアップ障害)、
    精子と卵子が出逢っても受精ができない(受精障害)など、
    検査では原因を突き止めるのが難しいもの

*この内、特に頻度が高く、かつ、最も大きな原因なのは1〜4です。
*検査を全て行っても、原因がわからない場合もあります。
*原因がわからない不妊を「機能性不妊」や「原因不明不妊」といい、10〜25%を占めると言われています。
*不妊原因は、男女双方にあります。不妊原因は女性だけでなく男性にもあり、WHO(世界保健機関)の調査では下記の円グラフの通り、カップルのおよそ半分は男性にも原因があります。不妊原因として女性の高齢化はよく取り上げられますが、お互いに原因があると思い合って、カウンセリングや検査・治療に臨んで頂きたいなと思います。

不妊の原因 男女比(1997年WHO調査より)

 

*先ずは、どこに原因があるかをよく調べて、原因に合わせた対応を行うことが妊娠に繋がる第一歩です。
また、原因は一つではなく、男女共に持っている複数の原因が組み合わさっている場合も多いので、
一つ一つ対応しながら治療を進めることが大切です。

 

⑤当院で妊娠のご相談をして頂く場合、こんな流れで診療が進みます

  1. 問診:web問診で記入して下さった内容を一緒に拝見しながら、検査や治療に関するご希望などをお聞きして、大体の計画を立てます。
    問診内容は、生理周期(順調かどうかなど)、生理痛の有無、過去の妊娠・出産歴、既往歴、性交渉の頻度や不妊期間、不妊検査・治療歴などです。
  2. 検査に進む場合は、下記の図に添って、生理周期に合わせて行います。
  3. 下記の図の通り、生理周期に伴って必要な検査がそれぞれあるため、1回の受診、1回の検査で全て判断することは出来ません。初めて来院されるタイミングや、ご自身のご都合と検査を受けて頂きたい日がうまく噛み合わない事もありますので、一通りの検査を終えて方向性が見えてくるまで、大体1〜2ヶ月かかります。
  4. 検査結果がそろったら、検査結果と統計的なデータをお示ししつつ、患者さんお一人お一人の年齢、生涯で欲しいお子さんの人数(ライフプラン)、カップルがご希望される不妊治療の進め方、お子さんを授かりたい時期(キャリアプラン)、などをお聞きして、どの様な方針で進めるかを一緒に相談します。
  5. 方針が決まったら:
    ● 検査結果に特に異常なく、当院での治療が可能で、ご希望される方は当院で引き続き拝見します。その際、どんな治療から始めたら良さそうか、どれくらいの期間行うか、計画表を作成して一緒に決めていきます。
    ● 検査結果に特に異常なく、若年の方の場合で、「先ずは通院せずにご自身達でやってみたい」というカップルには、セルフタイミングの方法や大切なポイントをお話します。
    ● 検査結果で、深刻な婦人科疾患や妊娠前に治療が必須の婦人科疾患を見つけた場合は、先に大きな医療機関をご紹介して治療にあたって頂くよう、お勧めします。

検査の流れ

同じ検査を何回も受ける様に見えますが、生理周期に沿って卵巣と子宮は変化をしながら排卵に向かうので、それぞれの検査に意味があります。

生理周期に沿って色々な検査があるということ、検査の時期などの全体像をつかんで頂けたらと思います。
検査それぞれの詳しい内容は、検査のコーナーでご説明します。

前述の通り、女性の生理周期は下記の様なサイクルで回っています。
(こちらでは生理周期が最も一般的な28日の方の場合を例にお示ししています)

図の通り、時期の隣に記載されている検査がそれぞれの時期に行うべき検査です。
基本検査として推奨される検査の内、生理周期のどこで行っても問題ない検査も別にお示ししました。

来院された日が生理周期のどこでも、その時に出来る検査から少しずつ始めていき、不妊基本検査が一通り終わるよう、1〜2ヶ月の周期を使って検査を進めていきます。

月経期(生理開始から1〜5日目まで)に行う検査

  • 血中ホルモン検査
  • 経膣超音波検査(周期によっては実施)

卵胞期(生理開始から7〜10日)に行う検査

  • 経膣超音波検査
  • 子宮卵管造影検査

排卵期(生理開始から11〜16日)に行う検査

  • 経膣超音波検査
  • 血中、尿中ホルモン検査
  • 頸管粘液検査
  • ヒューナーテスト

黄体期(排卵予想日から7日目前後)に行う検査

  • 経膣超音波検査
  • 血中ホルモン検査

生理周期のどこで行っても問題のない検査 & 基本検査として必要な検査

  • クラミジア抗原・抗体検査
  • 子宮頸がん検診
  • 風疹抗体検査
  • AMH(抗ミュラー管ホルモン)
  • 抗精子抗体検査
  • 甲状腺ホルモン検査

*基本検査の他に、患者さんお一人お一人に必要な追加検査、情報提供すべき検査がある場合は、別途ご説明の上、実施します。

⑥当院で行っている不妊の基本検査

1. 婦人科疾患の検査

子宮頸がん検査(細胞診)、子宮筋腫や卵巣のう腫などの婦人科の病気がないか検索(経膣超音波と内診)をします。妊娠の前に、解決すべき深刻な婦人科疾患を見逃してはいけないという事と、妊娠前に治療をした方が安全に妊娠に臨める場合もあり、異常が見つかった場合は、不妊検査・治療との優先順位や両立について検討したり、専門の病院へご紹介したりします。

2. 血液検査・尿検査

ホルモン検査:前述の図の通り、ホルモンごとに最適な検査時期が異なるので、検査は何回かに分けて受ける必要があります。

①月経期(生理開始から1〜5日目まで)
:基礎分泌ホルモン(LH、FSH、E2、PRLなど)の測定
排卵障害の原因やPRLの影響がないか、卵巣予備能の予測を行います。

②排卵期(生理開始から11〜16日)
:血中LH、エストロゲン(E2)の測定、尿中LHの測定
排卵直前になると上昇するホルモンを測定します。
排卵日を予測したり、成長した卵胞に見合ったホルモンが出ているか確認します。 

③黄体期(排卵後7日目前後)
:プロゲステロン(P4)の測定

生理周期のどこで行っても問題ない血液検査

● クラミジア抗体検査:クラミジア感染症は、昨今罹患が増えている性感染症です。クラミジア感染歴がある方は卵管に問題がある場合があります。陽性の場合は先に治療が必要です。また、パートナーも検査・治療が必要です。子宮卵管造影を行うためにも必須の検査です。

● 風疹抗体検査:妊娠中に風疹に感染すると、先天性風疹症候群という胎児の病気に罹る危険があります。妊娠する前に抗体価を測定し、十分な免疫があるかどうか確認し、免疫が十分でない方は風疹ワクチンを接種してから妊娠にチャレンジした方が良いでしょう。

● AMH(抗ミュラー管ホルモン):卵巣にどれくらい卵があるか、卵の在庫の数を推し量る検査です。治療の時間をどの様なスピード感で進めるべきか、方針を決める上で、とても大切な検査です。

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● 抗精子抗体(ASA:精子不動化抗体)検査:抗精子抗体があると、性交渉をしても頸管粘液の中で抗体によって精子が攻撃されて動けなくなってしまい、卵子と出逢うことが出来ません。精液所見が正常なのにヒューナーテストの結果が不良な場合などに検討したい検査です。

● 甲状腺ホルモン検査:甲状腺ホルモンの異常が原因で不妊症になる事は少ないですが、異常がある場合は流産や早産の原因となることがあります。予め検査をして異常を発見し、治療しながら妊娠にチャレンジすることをお勧めしています。

*その他、血糖値・耐糖能の検査、男性ホルモンの検査  
*感染症検査:B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒などの一般感染症の検査
*結果によっては、より詳しい情報を得るため、追加検査を行う場合があります。
*上記は、基本検査です。患者さんによっては、ご説明の上、追加して検査を行うことがあります。

3. 経腟超音波

初診時は、子宮筋腫や卵巣腫瘍など婦人科疾患の有無を必ず調べます。
その後、卵胞の数を数えたり、主に生理周期に合わせて卵胞の発育状況を観察します。
卵胞が徐々に成長して大きくなるのを観察し、最終的に卵のサイズから排卵日を予測します。また、きちんと卵の殻が割れて排卵が起きたかどうか確かめることも(排卵後確認)、とても大切です。卵胞の発育の程度により、月によっては何回か経腟超音波検査が必要となることもあります。

4. 子宮卵管造影検査

子宮の形状(子宮奇形、子宮内腔の変形や癒着など)や卵管の通過(卵管が詰まっていないかどうか)を調べる検査です。不妊原因の中で頻度が高く、かつ、とても重要な原因である卵管や子宮の内側の問題について、よく分かる検査です。
   
下記のイラストの様に卵管は両側にあります。両方とも詰まっている場合は精子が通過できず、卵子に出逢うことが出来ませんから、自然妊娠は出来ません。片方だけ通過がある方も、両側通過がある方と比較して色々な工夫が必要です。

この様に卵管に異常があるかどうかで治療方針はかなり異なるので、基本検査の中でもなるべく最初に行って頂きたい検査です。

〜卵管の検査について、当院が想うこと〜

一般的に、産婦人科クリニックではレントゲン室を設備している所は少なく、不妊治療を行っている婦人科クリニックや不妊治療専門の施設においても、卵管の評価については卵管通気・通水検査を行っていることが多いです。

これらの検査は空気やお水を子宮に注入して注入圧の状態から卵管の通過を調べる検査で、副作用や合併症が特になく適応が広い良い検査方法ですが、医師の経験値に依るところも多い検査でもあり、より正確に卵管の評価が行える点で優れているのは子宮卵管造影検査です。

新しい検査として超音波を用いた卵管造影検査もありますが、保険適応がないため、自費で2〜3万円と高額です。一方、子宮卵管造影検査は保険適応があるので、概ね8000円〜10000円くらいで実施が可能です。
   
また、子宮卵管造影検査にはもう一つの大きなメリットがあります。「検査」と同時に「治療」の効果もあると考えられています。軽度の癒着や卵管が元々狭い方の場合、子宮卵管造影検査をすると、造影剤を卵管に通す過程で卵管が拡張し、卵管の通りが良くなります。実際に、検査後の数周期は通りやすさが保たれ、妊娠率が上昇すると言われていて、一般不妊治療で結果を出したい方に向いています。

上記のようなことから、当院では、不妊の基本検査をしっかりと行いたい、一般の不妊治療が可能な方かどうか、体外受精が可能な施設に早期にご紹介が必要な方かどうか正しく見極めたい、という想いと、経済的な負担を少なく、一般の不妊治療で妊娠して頂きたいという想いから、子宮卵管造影検査を備えることを決めました。

当院におかかりの患者さんだけでなく、他院にて不妊検査や治療中の方で、子宮卵管造影検査のみ当院で行いたいという方も、ぜひご利用頂きたいと思います。

注:当院でも次の様な方には、子宮卵管造影検査の代わりに卵管通水検査を行うことがあります。

  • 造影剤アレルギー
  • 甲状腺異常がある方

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5. 精液検査

精液量、精子濃度、 運動率、 正常形態率などを調べることが出来ます。不妊原因のうち、精子の数が少ない、運動率が悪いなどの精液所見の異常は、頻度が高く、かつ、とても重要な要素です。どんなにタイミング良く性交渉が持てたとしても、精液所見に異常がある場合は、卵子と精子が出会える確率が下がってしまい、妊娠に繋がり難いからです。

当院では、子宮卵管造影検査と同様、不妊の基本検査をしっかりと完了したいという想いから、
SQA−iOという不妊専門クリニックや泌尿器科で使用されている精密機械を用いて精液検査を行っています。当院で、不妊検査・治療の周期に入っている患者さんはもちろん、他院で検査・治療中で精液検査だけ当院で行いたいという方も、ぜひご利用頂きたいと思います。

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6. ヒューナーテスト

排卵期に性交渉をし、その数時間後〜翌日に来院をして頂きます。子宮の出口のおりもの(頸管粘液)を採取して、その中で泳いでいる精子の様子を観察します。
頸管粘液の状態が不良だったり、女性が抗精子抗体がある場合、ヒューナーテストが結果が悪くなることがあり、抗精子抗体検査を検討します。
ヒューナーテストは、異常がなくても結果が悪く出ることがあります。一度で結果が悪くても再検することで良い結果が得られる場合がありますから、何回か受けてみましょう。

⑦当院で行っている不妊治療

基本検査の結果を踏まえ、希望に応じて治療の方針を決めていきます。

不妊治療は大きく分けて、下記の2種類です。
①タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療
②体外受精

● 当院ではこの内、①の一般不妊治療を人工授精を含めて行っています。
● 当院では、自力では排卵に至る卵の成長が難しい方や卵の成長が遅かったり排卵の時期が一定でない方は、内服や注射薬を使用するなどして、排卵が安定して起きる様にお手伝いをします。排卵そのものがうまくいかない方には、排卵を促す点鼻薬や注射を使用することもあります。お薬の説明はこの後のページで詳しくご説明致します。

● タイミング療法

超音波や血液検査、尿検査の結果から排卵日を予測し、妊娠の確率が高いベストな時期に性交渉のタイミングをお伝えする治療方法です。上記の検査の項でご説明した通り、経膣超音波や頸管粘液の観察、血液検査、尿検査から総合的に判断して、排卵日を出来るだけ正確に予測します。
排卵日にタイミングを取ることで、卵子と精子が出逢い易くなり、妊娠に繋がり易くなります。

● 人工授精(AIH/IUI)

妊娠が成立しやすい時期(排卵のタイミング)に合わせて精液を採取し、子宮内に戻す方法です。
精液を濃縮・洗浄処理して、カテーテルと呼ばれる細い管を使って子宮内腔に直接注入します。
濃縮した精液を直接子宮内に注入することにより、自然妊娠より妊娠する確率が高くなります。

下記の様なカップルに適応があります

  • 精液検査の結果が不良
  • ヒューナ検査不良
  • 性交障害がある:何らかの原因で勃起が不完全であったり、腟内射精が難しい場合
  • タイミングで妊娠に至らない

精子は通常、膣から卵管の先まで泳いで卵子まで到達するのですが、数が少なかったり、直線で高速移動できる精子が少ないと、卵子に出逢うことが難しくなります。また、性交障害があると子宮内に精子を送り届けることが出来ません。人工授精はその様な方やタイミングで妊娠に至らない原因不明なカップルに良い適応があります。

人工授精と聞くと、急にひとっ飛びに治療が本格的になったと思ってしまわれる方が多いのですが、1周期あたりに行う治療内容は、当日の人工授精の処置以外は、実際はタイミング療法とそれほど変わりません。タイミング療法も人工授精も、排卵日を予測するまでに行う検査や使用する薬剤などの途中の過程(卵が育つ過程)は、ほぼ同じです。タイミング療法と同様の方法で排卵日を予測して人工授精の日程を決め、パートナーの精液を持参して頂き、濃縮した精子を子宮内に注入します。

処置後の日常生活の注意点は特になく、普段と変わりなく過ごすことができます。処置後は感染予防のため抗生剤を処方しております。

● 排卵を助けるためのいろいろな方法:排卵誘発について

通常は、毎月(毎周期)、自発的に一つの卵胞が大きくなり、排卵が起きます。
ところが、自発的に排卵が起きなかったり、排卵が起きるまでに時間がかかり過ぎてしまう方もいます。
その様な方に対して、内服薬や注射を使用して排卵が順調にいくよう助けることを、「排卵誘発」と言います。

当院では、下記の様な方法を用いて卵胞を大きくし、排卵を促しています。

・内服薬による排卵誘発:クロミッドやフェマーラ(レトロゾール)

これらの内服薬は、排卵障害が疑われる方に対して一般的でよく汎用されているお薬です。
自発排卵・月経がない方、毎月の月経周期が一定でない方(排卵が一定でない方)、排卵日予測が難しい方などに使用します。基本的には月経5日目までに内服を開始し、5日間内服して頂きます。

副作用:最も注意が必要なのは、多胎妊娠(双子や三つ子)です。
その他、クロミッドというお薬では頸管粘液の減少、子宮内膜が薄くなる、などの副作用があります。
服用を開始した際は、検査を行いつつ慎重に観察を行います。
多胎妊娠は検査を十分に行っても避けられない場合もあります。

・注射による排卵誘発:HMG製剤、uFSH製剤など。

内服が無効な場合や内服のみでは卵胞の成長が不十分な場合に使用します。
投与量は、各患者様の年齢、検査結果、超音波所見を元に検討します。
                               
注:どちらの方法も、卵胞が育ち過ぎる場合があります。その様な場合は、双胎(双子)、品胎(三つ子)の危険性が増加するため、場合によって、その周期がキャンセルとなることもあります

・注射や点鼻薬による卵胞成熟と排卵促進:HCG製剤、ブセレリン

大きく成長した卵胞は自然排卵も可能ですが、注射や点鼻薬を使用して排卵を促す場合もあります。

⑧当院の初診時の流れ

  1. 初診の予約をする:web上から “不妊初診枠” でご予約を取って下さい。ご予約と同時にweb問診もご記入下さい。初診のタイミングは、当院の場合は生理周期のどのタイミングでも大丈夫です。お越し頂いた際に可能な検査から始めていきます。
    初診時は、お話をよくヒアリングするために予約枠を長めに取っています。
  2. 問診:来院するまでに、web問診を記入しておいて下さい。詳しく問診をお聞きすることで、受診された際の診察がスムーズになります。問診にないことでも、ご自身が気になっていることや心配に思っていること、ご不明点など、何かありましたらお気軽にご相談下さい。
  3. 内診・経膣超音波検査:検査の項でご説明した流れで、子宮と卵巣の観察をします。
  4. 生理周期に合わせて、可能な血液検査があれば行います。
  5. 説明:今後の検査や治療方針について、初診の時点でお話できることを説明いたします。検査や治療を進めたい方には、今後の検査に向けての流れをご説明したり、必要な物品のお渡しを行います。

*当院での不妊診療の注意点:

ここまでのご説明でも記載しておりますが、当院は、一般不妊治療を主体に不妊治療を行っております。

設備上、体外受精は行うことが出来ません。

そのため、初診時からの患者様の情報や施行した検査により、妊娠のためには体外受精が不可欠、もしくは、早急に体外受精が必要と考えられる場合は、当院での治療は行わず、施行した検査結果等を含めた紹介状を作成させて頂き、円滑に転院が進むようご紹介の手配をさせて頂きます。

その点、ご了承のほど宜しくお願い致します。

⑨料金表

保険

項目 料金
初診料 ¥1500
再診料 ¥390
一般不妊治療管理料
(3ヶ月に1回かかる費用です)
¥750
経膣超音波 ¥1,590
フーナーテスト ¥410
血液検査(ホルモン値:月経中) ¥1,800程度
血液検査(ホルモン値:排卵後) ¥1,500程度
子宮卵管造影検査 ¥9,400程度
人工授精 ¥5,460
排卵誘発剤(卵胞を育てる内服薬) ¥150〜¥700程度
排卵誘発剤(卵胞を育てる注射) ¥1,000-¥1,500/1回
排卵を促す注射(HCGなど) ¥1,000程度/1回
排卵を促す点鼻薬(数回分・自費) ¥12,000程度
黄体補充(内服) ¥700程度

*2022年4月から不妊検査・治療は保険適応が始まりました。
 上記の価格は、基本は保険診療の価格です。
 保険診療が通らないお薬や検査は自費の価格で表示しています。

*内服薬はこの他に内服調剤料、処方料として別途¥160〜¥530かかります。

*内服や注射は患者さんごとに使用する回数、日数などが異なりますので、金額は目安です。

自費

項目 料金
AMH ¥7,700
抗精子不動化抗体検査 ¥7,700
精液検査 ¥5,500
風疹抗体検査 ¥3,300
ビタミンD ¥5,500
妊娠反応(尿検査) ¥1,500
費用の例①(不妊検査・治療を始めた初回の生理周期にかかる費用)

例えば、うさこさん(当院は初めて)が必須な不妊治療検査を全て希望したとします。
1回の生理周期で全ての検査をしつつ、タイミング療法をした場合のおおよその費用
(初診+再診2回を想定)

項目 料金
初診料 ¥860
再診料 ¥390 × 2
一般不妊治療管理料
(3ヶ月に1回かかる費用)
¥750
経膣超音波
(1周期あたり2〜3回)
¥1,590 × 3
フーナーテスト ¥410
血液検査(ホルモン値:月経中) ¥1,800
血液検査(ホルモン値:排卵後) ¥1,500
子宮卵管造影検査 ¥9,400
AMH ¥7,700
精液検査 ¥5,500
風疹抗体検査 ¥3,300
  ¥37,000くらい

 

費用の例②(一通りの検査が終了した後の生理周期でかかる費用)

うさこさんが上記の不妊治療検査を全て終了し、特に異常がなかったとします。次の月から、
お薬を何も使用せずにタイミング療法を始めた場合の、1回の生理周期にかかる費用(再診2回を想定)

項目 料金
再診料 ¥390 × 2
経膣超音波(1周期あたり2〜3回) ¥1,590 × 2
  ¥4,000くらい

*うさこさんが内服による誘発剤や排卵を促すお注射を行なった場合は、これに上記の価格を足されます。
*当院では、基本的には初回はお薬を使用せず自然経過を拝見し、次周期以降で誘発剤を検討しています。

 

費用の例③(人工授精にステップアップをした場合にかかるおおよその費用)

うさこさんが4ヶ月目から、内服薬と注射を使用した人工授精を行なったとします。
1回の生理周期にかかるおおよその費用(再診2回+人工授精当日を想定)

項目 料金
再診料 ¥390 × 3
一般不妊治療管理料
(3ヶ月に1回かかる費用)
¥750
経膣超音波
(1周期あたり2〜3回)
¥1,590 × 2
排卵誘発剤(内服) ¥150〜¥700程度
排卵を促す注射(HCGなど) ¥1,000程度/1回
人工授精 ¥5,460
黄体補充(内服) ¥700程度
  ¥13,000くらい

*こちらの例はあくまで目安です。
*患者さんのお一人お一人の年齢や検査結果、受診の頻度、使用する薬剤などにより、方針や費用は異なります。
*こちらの例を参考に、受診前に少しでも費用感が伝わり、安心して受診して頂けたら幸いです。

 

⑩不妊検査に関わる助成金について

不妊検査や治療を受ける方のために、費用の一部を自治体が応援してくれる助成金制度が存在します。

 

不妊検査等助成事業が行う助成金制度とは、必要に応じて適切な治療を開始できるよう、

ご夫婦ともに受けた不妊検査にかかる費用を助成する制度です。

 

自治体によって助成金を受けられる条件や助成内容は異なります。

 

例えば、当院で行っている全ての不妊検査は、下記の条件を全て満たすと、患者様が東京都にお住まいでしたら、5万円を上限に検査費用の助成が受けられます。

 

東京都の場合の助成金制度の条件や費用は下記を参考にして下さい。

 

初めての不妊検査や治療に臨む際、費用面のご心配は非常に多く聞かれるお悩みの一つです。

当院では、初診時には基本的に不妊検査や治療方針についてのカウンセリングを行っておりますが、

その際に、助成制度についても簡単に説明していますので、ご不明点などお気軽にご相談下さい。

東京都の助成金について詳しくはこちら

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