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生理の出血が多い:過多月経

過多月経とは

生理の時の出血量が多いことを、“過多月経”と言います。

「生理の出血が多い」と感じる方のお悩みについて、下記の様な流れで説明したいと思います。

生理痛の程度を他の人と比較するのが難しいのと同様、出血量を比較するのはより難しいものです。

生理痛が辛い方は婦人科の病気が隠れている可能性があるのでぜひ調べて欲しいのですが、生理中の出血量についても、多すぎる場合はお腹の中に婦人科の病気が隠れている可能性があるので、ぜひ相談をして頂きたい症状の一つです。

1.”生理が多い”とは?**具体的な量の目安***

問診をすると、産婦人科の先生としては明らか多いな、と思える方も、ご自身では普通だと思っている、ということがよくあります。

ですから、月経量をいつも使用するナプキンの大きさやナプキンを交換するタイミングなどの、具体的で分かり易い例を示しながら、どの様な状況なら”生理の出血が多い”と言うのか、目安を書いてみます。

  • 生理1日目から終わりまでを通して、20cmや23cmのナプキンで済むことがない
  • 夜用の大きなナプキン(30cm以上など)やおむつタイプのナプキンが必要
  • 大きなナプキンをしていても1~2時間で溢れたり漏れて交換が必要
  • 疲れ易い、階段の上り下りなど少しの動作で息切れが起きる
  • 内科の定期検診などで、貧血(Hbヘモグロビンが低い)を指摘される。
  • 月経カップやタンポンを使用している方で、それらを乗り越えて漏れてくるという方

こちらの目安を読んで、「私は当てはまるな」「月経量が多い方だな」と思った方は、何らかの婦人科の病気が隠れていることがあります。また、気が付かずに貧血に陥っている可能性もあるので産婦人科で診察して貰うのが良いでしょう。当院でも、もちろんご相談可能です。

2.月経が多い場合の症状

  • 生理痛が辛いことが多い
  • 腹痛以外に腰痛などの症状もある
  • 貧血(疲れ易い、息切れし易い、身体が浮腫む等の症状)

月経量が多くて起きる症状は主にこの2つです。順番に説明してみましょう。

生理が重くなりがち

出血量が多いという事は、子宮の中にたまっている内容が多いのと同じ意味なので、それを子宮の外に押し出そうとして子宮はたくさん頑張ります。その結果、生理痛が重くなる傾向があります。

貧血

月経量が多いことで起きる症状で多いのは、この「貧血」という状態です。

毎月の生理の度に大量の血が失われるので、血を作るスピードが失うスピードに追いつかずに、血が足りない状況=貧血が起きます。

ここでお話している貧血とは、血液検査の数値Hb(ヘモグロビン)が低い状態です。

頭がフラフラして、めまいの様な症状を起こして倒れてしまう「脳貧血」とは違いますので注意して下さい。

貧血があると、いつも身体がだるくて疲れ易かったり、ちょっと走ったり階段を上っただけで息が上がってハァハァと苦しくなったりします。朝起きると身体が重くてだるく、睡眠をとっても疲れが取れない、と言う方も居ます。

月経量について怖いなと思うのは、人と比べられないので、自分の月経量が正常なのか異常なのか、判断が難しいところです。

身体がだるかったり疲れ易くても、それが貧血症状で、その貧血は月経量が多いからだという発想に辿り着かないことも多いので、体の具合が悪いまま、元気がないまま、「疲れているからだるいんだわ」とか「私って疲れやすいな、体力がないな」などと間違った理解をしたまま、我慢して過ごしてしまったり、身体が貧血に慣れてしまって重度の貧血状態のまま放置されている方もよく見かけます。

こちらの記事を読んで「私は生理の出血量が多いかもしれないな」と思ったら、当院でも良いし、お近くの産婦人科でも良いのでご相談下さい。

3.過多月経の原因

過多月経は診察してもまったく原因が見当たらない場合もありますが、子宮筋腫(筋肉でできた腫瘍)、子宮腺筋症(子宮の壁が厚くなる病気)など、原因となる病気が隠れている場合も多いです。

これらの過多月経を起こす病気は、放置するとだんだん悪化したり、また将来的に不妊症や妊娠した際の流産の原因になったりする事もあるので、注意が必要です。

経膣超音波(膣から診察)は通常の外来で簡単に出来る検査なのですが、子宮筋腫や子宮腺筋症などは、超音波検査で発見することが出来ます。

基本的には強い痛みは少なく簡単な検査なので、月経量が多いな、とか、生理痛が重いなと思う方は是非一度、産婦人科に相談に行き、診察をしてもらって下さい。

検査は主に、

  • 初診料 850円
  • 超音波検査(内診 もしくは お腹から) 約1500円
  • 血液検査(貧血の有無など) 料金は検査項目の数によって変わります

超音波検査で心配な病気が見つかった場合は、大きな病院を紹介して貰ったり、より詳しい検査を行う事もあります。

4.過多月経の治療

過多月経がどんな原因で発生しているか、年齢、近い日程での妊娠希望の有無、などによって、治療法は異なります。

1)低用量ピル

低用量ピルは生理痛が辛い時もよく使用されるお薬ですが、過多月経の方にも良い適応があります。

ブログの読みもの(シリーズ生理痛③)でも書かせて頂いたのですが、低用量ピルは排卵が起きない様するお薬で、排卵が起きないことで女性ホルモンの働きが穏やかになります。

女性ホルモンの働きが穏やかだと、子宮内膜は厚くならず、結果的に月経量が減ります。

子宮筋腫や子宮腺筋症があると診断された方は、低用量ピルを内服すると月経量が減るだけでなく、病気の進行を遅らせる効果も期待できます。

低用量ピルは色々な種類があるので、産婦人科の先生と相談してご自身の身体にに合ったものを処方してもらうのが良いです。

ピルの副作用や注意点は、ブログの読みもの(生理痛の治療)でも詳しくお話しています。

ブログの方はお話形式になっていて、より易しい読みものです。

ご注意:

*低用量ピルは、40歳以上の方は慎重投与となっています。他の治療で同じ様な効果を狙ったり、治療方針を相談を相談させて頂きます。

*当院では、喫煙をされる方は血栓症のリスクが高まるので出来るだけ投与をひかえています。
 ピルの処方をご希望の方で禁煙が難しい方は、別途ご相談させて頂きます。

2)子宮内ホルモン放出システム(商品名;ミレーナ)

ミレーナは作用の仕方は異なりますが、低用量ピルと同様に子宮内膜を薄くしてくれる装置です。

こんな装置です↓

装置というと大掛かりな感じですが、実際は手のひらに乗るくらいの小さなプラスチックです。

出典:バイエル薬品株式会社

ミレーナを装着していると、排卵も起きるし生理もきますが、ミレーナから放出されるホルモンのおかげで子宮の内膜は薄くなるため、出血の量が減ります。

低用量ピルと異なり、40歳を過ぎても安全に使用できる点や、薬の様に飲み忘れなどがない点がメリットです。

挿入の処置は、当院外来で可能です。挿入時には痛みがある場合がありますが、正しい場所に設置が出来れば、一旦挿入してしまうと痛みや違和感は殆んどありません。

3)子宮内膜症・子宮筋腫などの治療

子宮内膜症の一種、子宮腺筋症(子宮の壁が厚くなる病気)の診断を受けた方は、その治療を行うことで、結果的に月経量を減らす事が出来ます。

具体的には、低用量ピル、黄体ホルモン剤などのお薬があります。

どちらも女性ホルモンの働きを抑えて、子宮内膜を薄い状態に保つことで出血量を減らす効果は同じです。

また、同様に子宮筋腫があると、場所や大きさによって過多月経や生理痛の原因になります。お薬や手術などの相談が必要です。

4)貧血の治療

過多月経によって、貧血(血液検査のHb(ヘモグロビン)値が低い状態)が発生している場合は、造血するための材料である、鉄剤を投与する事もよくあります。

  • 出血量が多くて貧血があり身体が疲れ易い
  • 健康診断で貧血を指摘される
  • 妊娠の希望があって上記の様な排卵が起きないお薬や避妊の効果もあるミレーナを使用できない

という方は、Hb(ヘモグロビン)値を確認して鉄剤の投与が必要になる可能があります。
貧血が改善するだけでも、体感する体調はかなり改善します。

まとめ

*当院では、生理痛がある方には産婦人科受診をお勧めしています。
*生理痛と同じく、過多月経についても、ぜひ、産婦人科での検査をお勧めしたいです。
*過多月経は、ちゃんと調べれば原因が分かる場合があります。
*過多月経を改善すると生理痛や貧血を改善できます。

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