メニュー

ピルの相談をしたい
:月経困難症、PMS 避妊・ニキビ・肌荒れ

最近、女性の皆さんのピルに対する興味や関心が以前よりも高まってきた様に感じます。

「お友達が使っていて生理痛が軽くなったと聞いたので、私も使ってみたい」「PMSが楽になったと聞いたので相談に来ました」という方がたくさん相談にいらしています。

皆さんからよく聞かれること、相談されることは、

  • ピルって生理痛が軽くなるらしいけど、本当ですか?
  • PMSに効くって、本当ですか?
  • 肌あれが改善されたりニキビが減るって、本当ですか?
  • 種類が多過ぎてどんなピルが自分に合っているか分からない
  • お母さんが危ないって言っていて、使ってみたいけど心配です
  • ネットで調べたらオンラインでも買えるみたい、産婦人科のクリニックで処方されるピルと何が違うの?
  • なんで、それぞれお値段が違うのかな?

ネットで調べると色々書いてあるけど、ご自身はどのピルが合ってるのか、どこで処方して貰ったら良いのか分からなくて、とりあえず相談に来て下さる方は本当に多いです。

そこで、ピルの相談をしてみたい方に、下記の様な順番で説明してみます。

まずは1でピルの種類や選び方についてお話して、少しずつ理解を深めていける順番にしました。

先に仕組みをしっかり勉強してから選び方を学びたい方は、3→2→1の順番で読むのも良いかなと思います。

2のお話では、どんな効果があるのか、使用する時の注意点について、3のお話では、ピルがどんな仕組みで働くのかを解説します。
また、オンラインでピルを購入する場合の良い点と注意点もお話します。

1.ピルの種類と選び方

  お薬の名前 保険
自費
飲む日数 お休み
期間
連続投与
可能
こんな女子に
お勧め
避妊のみが
目的での処方


ルナベルLD 保険 21日 7日 ×
  • 生理痛を改善したい
  • ニキビを改善したい
×
ルナベルULD
フリウェルLD 21日 7日 ×
フリウェルULD
ヤーズ 28日 なし ×
  • 生理痛を改善したい
  • PMSを改善したい
  • ニキビを改善したい
ドロエチ 28日 なし ×
ヤーズフレックス 120日 なし ○(120日)
ジェミーナ 21日/28日 7日/なし ○(77日)
ファボワール21 自費 21日 7日 ×
  • 避妊目的でピル希望
  • ニキビを改善したい
ファボワール28 28日 なし
マーベロン21 21日 7日 ×
マーベロン28 28日 なし


トリキュラー21 21日 7日 ×
  • 避妊目的でピル希望
  • 性欲減退したくない
トリキュラー28 28日 なし
ラベルフィーユ21 21日 7日 ×
ラベルフィーユ28 28日 なし
アンジュ21 21日 7日 ×
アンジュ28 28日 なし
シンフェーズ 28日 なし ×
  • 避妊目的

現在、日本で販売されているピルの製品です。

ここに載っているピルは全て、低用量ピルと言って、中に含まれているホルモンの量がとても少ないものです。皆さんが俗に言う「ピル」とは、この低用量ピルを指している事が多いです。

他にも緊急避妊目的や月経移動目的で使用する中用量ピルなどもありますが、低用量ピルの様に常用的に内服するというより、特別な理由がある時に処方されることが多いです。

表のお薬は、どう異なっているかと言うと、

  • 中に含まれているホルモンの種類、量、配分が違う。
  • 中に含まれるホルモンの種類によって、改善できる得意分野が少しずつ違う。
    なので、お悩み別でお勧めが変わってくる。
  • 連続して飲む日数が違う。
  • 生理痛やPMSなどの症状のあるなしによって、
    保険で出せるピルとそうでない自費のピルがある。
  • 中身は同じだけど製造している会社が違う。
  • 中身は同じで会社も同じだけど、後発品(お値段が安いバージョン)である。

順番に説明してみましょう。

ホルモンの種類、量、配分による違い

ピルは、自分の卵巣から出ている、2種類の女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモンと言います)が含まれているお薬です。

仕組みの詳しい説明は3のお話で書きますが、ピルの主な作用は、お薬に含まれているホルモンの働きにより自分の排卵が起きなくなり、女性ホルモンの活動が抑えられることです。

排卵が起きないので、低用量ピルには全て避妊効果があります。

卵胞ホルモンの種類はどのピルも同じものが含まれていますが、黄体ホルモンは開発された時期によって、それぞれのピルで違う種類が含まれています。

同じ種類の黄体ホルモンが含まれているピルの仲間は、同じ効果があり、得意分野も副作用の傾向も似ています。

自分の目的に合った効果があるピルはどれかな、、

まずは、そんな風に選んでみると良いかもしれないです。

ルナベルLD/ULD、フリウェルLD/ULD

生理痛が辛い方、月経量が多い女子にお勧めです。肌あれ、ニキビにも効果があります。
LD(low dose:低用量)とULD(ultra low dose:超低用量)の2種類があるのが特徴です。
ルナベルとフリウェルの中身は全く同じです。先発(先に発売されたお薬)(ルナベル)か後発(後に発売されたお薬)(フリウェル)かの違いです。

コスパを重視する方は、全てのピルの中で一番安いフリウェルがお勧めです。

ヤーズ、ドロエチ、ヤーズフレックス

生理痛を改善したい、月経量を減らしたい、PMSを改善したい、という方にお勧めです。
肌あれ、ニキビにも効果があります。ULDと書かれていませんが、こちらもルナベルやフリウェルと同じ超低用量ピルです。

このため月経量が減り、生理痛にとても効果があります。

ルナベルやフリウェルとの違いは、ヤーズはむくみが起こり難いとされていること、PMSに対してはヤーズの方が効果が高いと言われている点です。

また、ヤーズフレックスは最長120日の長期連続投与が可能です。

120日間も出血が起きないで済むのは、有り難いですね。受験や部活動などで長期的に生理がきて欲しくないなどのご希望に添うことが可能です。

日本ではまだ認知度が低いですが、海外では長期連続投与のピルはとても人気があり、日本より一般的に使用されています。

トリキュラー、ラベルフィーユ、アンジュ

避妊目的&性欲減退したくない方にお勧めです。

飲み始めの日から段階的にホルモンの量が増えていく、3相性というタイプのピルです。
3相性は自然なホルモンバランスを再現しています。

表にある他のピルは全て1相性で、全ての錠剤に同じ量のホルモンが含まれています。
その一方で、3相性のホルモンは1相性にはない、ホルモン値の変動があるため、
ホルモンの変動が原因で辛くなるPMSの方には向いていないと言われています。

男性ホルモンが活性化するタイプのピルなので、性欲減退ややる気の減退がないのが良い点ですが、逆に体臭が強くなったりする副作用が出る方もいます。

ジェミーナ

生理痛を改善したい、月経量を改善したい方にお勧めです。

トリキュラー、ラベルフィーユ、アンジュと同じ種類の黄体ホルモンが含まれていますが、ジェミーナだけは1相性で保険適応があるお薬であるという点が違っています。

長期連続投与も可能で、内服している期間は出血が起きないので、出血が約2か月半に1回で良いのは嬉しいですね。

マーベロン、ファボワール

避妊目的&ニキビの改善が希望の方にお勧めです。
男性ホルモンの抑制効果が高いピルなので、ニキビや多毛の改善が期待出来ます。

逆に、性欲減退ややる気の減退を感じ易いという副作用もあります。

飲む日数の違い

ピルはこんな感じでシートになっていて、1シートが21錠のものと28錠のものがあります。

出典:フリウェル(持田製薬)、ヤーズ(バイエル薬品)

1日1錠、毎日飲むので、21日で終わるものと28日で終わるものがあるという事です。

21日のタイプは、21日連続で飲んだら7日休み、また次のシートを21日飲んだら7日休み、の繰り返し。

21日タイプのピルでは、7日間の休薬期間中に生理みたいな出血が起こります。
(便宜上、生理と呼ぶ事もあります)

28日タイプは、1シートが終わったら、お休みせずに新しいシートを直ぐに飲み始め、それを繰り返します。28錠タイプは最後の1列がホルモンを含まない偽薬になっていて、偽薬を服用中に生理みたいな出血が起こります。

21錠タイプは内服をお休み出来たり、価格がお安めだったりするメリットはあるけれど、再開時に飲み忘れてしまったり、休薬期間を間違えてしまう可能性もあります。

28錠タイプは何も考えずに継続して飲めば良いので簡単ですが、21錠タイプと比較すると僅かですがお値段は高めです。

保険と自費の違い

簡単に説明すると、生理痛やPMSなどの症状がある場合はお薬は保険診療のお値段で処方できます。

一般に保険診療で処方されるピルは自費ピルと比較して、1シートあたりのお値段がかなりお安くなっています。

保険診療は自費診療でもお薬代の他に、初診料、再診料、処方料なども含まれますが、合計しても保険で処方されるピルの方が費用は抑えることが出来るでしょう。

まとめ
  • 超低用量ピルは保険適応ピルだけ
  • 出血が長期に起こらない長期投与が可能なピルは保険適応ピルだけ
  • 初診料、再診料、処方箋料は保険診療では日本全国どこの病院でも定額、自費診療では病院によって金額設定が異なる

お値段について

病院やクリニックによって多少の違いはありますが、大体のお値段は以下の様な設定です。

保険適応ピル(1シートあたり)
フリウェル 約600円
ドロエチ 約700円
ヤーズ 約1500円
ヤーズフレックス 約2300円
ジェミーナ 21日タイプ 約2000円
ジェミーナ 28日タイプ 約2500円
自費ピル
ファボワール 約2000〜2300円
マーベロン 約2300〜2500円
トリキュラー 約2300〜2500円
ラベルフィーユ 約2000円〜2300円
アンジュ 約2300〜2500円

(ファボワール、ラベルフィーユは、ジェネリックなので少しお安めになっています。)

保険適応ピルは、この他に以下の料金がかかります。
初めての受診日 初診料+処方料+薬剤情報提供料=約1000円
2度目以降 再診料+処方料+薬剤情報提供料=約500円

病気がある場合や症状の原因を調べる場合など、この他に超音波検査や子宮癌検査などの
費用が別にかかる日もあります。

例えばのシミュレーションをしてみましょう。

初めて受診するクリニックに、生理痛の相談に行った場合

産婦人科に生理痛で相談に行くと、少なくとも超音波は行なって、深刻な婦人科の病気がないかを調べます。その他、子宮がん検診を行う場合もあります。

超音波検査を行なった後、診断や説明をして、保険適応のフリウェルを処方された場合、
上記の初診料などで
約1000円+超音波代 約1500円+お薬代 約600円=合計3000円くらい、となります。

2度目以降、毎回は超音波を行うことは少ないので、様子を伺ったりお薬の処方だけをしたとします。

上記の再診料などで
約500円+お薬代 約600=1100円くらい、となります。

(10円単位の細かいお値段は、実際のお値段と前後することをご了承ください)

一方、自費ピルは病院やクリニックによって初診料や再診料の料金設定やお薬代が異なります。

一般的に保険診療で処方される場合と比較して、高額になることが多いです。

ピルは相性もあって、飲んでみたら気持ち悪かったとか、むくんでしまったとか、合わなかったりする事もよくあります。産婦人科の先生と相談しながら、自分にピッタリのピルを選んでみましょう。

当院では問診のお話や診察結果を踏まえて、それぞれの患者さんのお悩みに合わせたお薬を提案しています。万一、お薬が合わなかった場合も、どんな点が合わなかったかをよくお聞きして、別の提案をすることが可能です。

お悩みを改善し、希望に添えるよう、一緒に相談しながら進めていきましょう。

2.ピルの良い点と注意点

  1. 高い避妊効果がある
  2. 生理痛・過多月経の改善
  3. PMS(月経前緊張症のこと:生理前のイライラ、精神的な不安点、体調不良など)の改善
  4. 子宮内膜症などの婦人科の病気を改善したり、進行を遅らせる事が出来る
  5. ニキビの改善
  6. 生理の時期を調整できる
  7. 好きな時に開始して、やめたい時にやめられる

順番に説明してみましょう。

1.高い避妊効果がある

日本で主流な避妊方法は、ピル、コンドーム、子宮内ホルモン放出装置、などです。

その中でも、女子が自分の意志で積極的な避妊を行える点がピルの良い所です。

ピルを内服するとピルの中に含まれるホルモンの働きによって、排卵は起きなくなります。

排卵が起きないと妊娠はしませんので、これがピルを飲むと避妊が出来る仕組みです。

コンドームによる避妊は、相手に使用をお願いしたけどして貰えなかった、手持ちがなかったけれど雰囲気を壊したくなくてコンドーム無しでしてしまった、つけたけど破れてしまった、など、女子が自分だけではコントロールしきれない、色んなトラブルが起きやすいものです。

ピルは飲み忘れなどがない限り、高い確率(90%くらいと言われています)で望まない妊娠を予防する事が出来ます。

2.生理痛・過多月経の改善

ピルを内服すると、ピルに含まれるホルモンの働きによって生理の日数は短くなり、量も非常に少なくなります。

このお陰で、過多月経で悩まされていた方は月経量が減ってラクになり、生理痛で悩まされていた方は生理痛が軽くなります。

3.PMSの改善

PMS(月経前症候群)とは、生理前に出現する心と体の不調のことを言います。

生理前にイライラする、身体が浮腫む、頭痛が辛い、気分の落ち込みが辛い、不眠などの症状があり、ホルモンのバランスが生理前に変化する事によって起きる、女性特有の疾患です。

ピルを内服すると、ホルモンバランスの変化が緩やかになるので、PMSは改善します。

生理前や生理中もいつもと同じく元気でいたい、勉強やお仕事に集中したい、家事や育児を楽しくこなしたい、と望む方には嬉しい効果です。

4.子宮内膜症などの婦人科の病気を改善したり、進行を遅らせる事が出来る

生理痛が辛くて産婦人科に相談に来て頂いて診察すると、一部の方には子宮内膜症などの婦人科の病気が見つかる事があります。

こうした病気は女性ホルモンを糧に大きくなったり悪化する性質があります。

ピルを飲むと、排卵がなくなり、女性ホルモンの活動が緩やかになります。

そのお陰で、こうした病気が改善したり、悪化するスピードを遅くしたりする事が出来ます。

5.ニキビや肌荒れの改善

生理周期によって、ホルモンバランスは大きく変化しています。

それに伴う、ニキビや肌荒れは、一般的には低用量ピルを内服すると改善します。

ピルを開始したのになかなか改善が見られない方は、男性ホルモンを抑制するタイプのピルや超低用量ピルに変更すると改善することもあります。

当院では、他の症状と合わせて、相性が良いと思われるピルを提案しています。

ピルについては色々と試してみたり、ニキビに対して外用薬や別の内服薬の相談も可能です。ニキビや肌荒れに悩まなくて良いよう、お手伝いを致します。

6.生理の時期を調整できる

ピルを飲んでいる方は、21日タイプのピルなら内服のお休み期間に、28日タイプのピルならシートの最後の列の期間に、出血(生理)が起きます。

一定の決まった時期に生理が来るのが分かるので、お薬を飲むタイミングを調整すれば、大切な試験や行事、旅行などの時に生理が来ない様にする事も可能です。

7.好きな時に開始して、好きな時にやめて良い

ピルは一度開始したら、ずっと続けなければいけないお薬ではありません。

(注意:子宮内膜症などの病気を指摘されて内服している方は主治医の先生と相談が必要です)

特に病気がなく、生理痛予防やPMSの改善のために内服している方は、結婚して妊娠したいなと思ったタイミングでやめれば良いのです。

ピルを内服していたから妊娠し難くなる、と言うことはないので安心して下さい。

ピルの注意点

ピルは非常に良いお薬ですが、注意するべき副作用もあります。

また、誰もが飲んでも安全、という訳ではなく、内服をする前には確認すべき事が色々とあります。産婦人科の先生とちゃんと確認してから飲んでみて下さい。

注意するべき副作用

ピルの副作用で一番心配なのは血栓症という病気です。

血栓症とは、血管の中で血が塊になって、栓をしてしまう=つまってしまう病気です。

足に出来た血栓(足の深部静脈血栓症)が血液の流れに乗って肺につまってしまうと肺梗塞という病気になり、ごく稀ですが死亡する場合もあります。

ピルは血栓症の確率を2~3倍にすると言われています。

こんな風にお話すると、とても怖そうに思うかもしれませんが、アメリカでのピルによる血栓症の頻度は年間1万人に3人、カナダではと年間10万人に1人、いうデータがあります。

また、妊娠中や産後12週間の血栓症を発症する確率は1万人に40~65人というデータもあります。これはつまり、低用量ピルを服用している方よりも、妊娠中や産後の人の方が血栓症が起きる頻度が高いということです。

また、例として、日本における原付バイクによる交通事故の死傷者数は年間1万人に3人、自転車による交通事故の死傷者数は年間1万人に8人でした。

副作用の頻度を聞いて、その危険度をどれくらい高い、怖いと感じるのかは人それぞれだと思いますが、体感するピル内服による血栓症の頻度は交通事故に遭う確率よりも低く、妊娠よりははるかに低いという事です。

また、もし万が一、血栓症が起きたとしても、それが重症な肺塞栓に発展するのはごく1割と言われており、早期に治療すれば済む事が多いのです。

上記の通り、ピルは安全にお使い頂けるお薬ですが、内服前の確認や内服中の管理をきちんと行う事でより安全に使用することが出来ますので、その点は怠らない様にしなければなりません。

通常、産婦人科でピルを処方する前には、ピル内服前のチェックリストに記入をして頂きます。

血栓症を起こしやすい体質の方がどうか、お薬を出しても安全かどうか、きちんと確認してから処方をします。抜粋すると以下のような項目を確認しています。

ピルを内服する前に確認して欲しいこと
  • 年齢(35才以上かどうか)
  • タバコを吸うかどうか
  • 低用量ピル・女性ホルモン剤のアレルギー歴
  • 乳がん・子宮がん、その他のがんの歴
  • 手術前後かどうか
  • 産後かどうか
  • 長期安静状態かどうか
  • 激しい頭痛や片頭痛や目がかすむ事があるか
  • 妊娠の可能性があるか
  • 現在、授乳中かどうか
  • 高血圧かどうか
  • 胆道疾患や肝障害があるか
  • 高脂血症があるか

など、その他、大きな病気の歴なども詳しくお聞きしています。

こんな症状があったら注意して下さい
  • 頭痛
  • 胸が痛い
  • 息苦しい
  • めまい
  • ふくらはぎが痛い
  • 足の片方だけが太く浮腫んでいる
  • 急に目が見え難い

こんな症状があったら、血栓症の可能性が考えられます。

ピルを飲むのを中止して、直ぐにかかりつけの病院に連絡をしてアドバイスを貰って下さい。

血栓症は足の血管の中の血の流れがよどむと出来やすいので、ピルを飲んでいる方はよく水分をとること、長時間じっと同じ姿勢でいないことが大切です。

その他、重症ではないけどよくある副作用
  • 吐き気
  • 全身がだるい
  • 頭痛
  • 胸が張る
  • むくみ
  • 不正出血

乗り物酔いの様な気持ち悪さ、頭痛、胸のはり、むくみなどはよくある副作用です。

体調が変化するので心配になってしまうかもしれませんが、段々となくなっていくことが多いです。

2~3ヶ月ほどで落ち着いて、問題なく継続できる場合がほとんどですが、合わないな、続けるのが辛いなと思ったら、遠慮せずに主治医の先生に相談してみて下さい。

不正出血と言って、決まった時期以外に出血が起きる事もあります。また、お薬の説明通りに出血が起きない、生理が全く起きない、という事もあります。

ピルの飲み始めはホルモンバランスが不安定なので色々な副作用が起きますが、3ヶ月程度で安定すると段々と減っていきます。

3.ピルはどんな仕組みで効いているの?

避妊効果がある理由

ピルがどうやって働いているのか説明するには、通常の女子の生理や排卵についてお話する必要があります。

通常、女子の体の中では、卵巣で毎月1個(基本的には1個)の卵子を排卵し、排卵に合わせて子宮は妊娠に向けた準備をしています。

具体的には、卵巣の中には小さな卵がいっぱい入っていて、脳から出るホルモンと卵巣から出るホルモンの力を使って、連携プレーをしながら、毎月1個の卵を自動的に選んで、大きく育てて、排卵を起こしています。脳からは「卵を育ててね」とか「排卵を起こしてね」という命令をするホルモンが出ていて、この命令を受けて、卵巣では卵を育てたり排卵を起こしたりしてるのです。

排卵は、妊娠をするために必要不可欠な過程です。

ピルは、この脳と卵巣のホルモンの連携プレーを邪魔します。

その結果、卵子の成長が止まって、排卵は起きなくなります。

この様に、ピルを飲むと妊娠が起きなくなるのは、排卵が起きない様に働いているからです。

生理痛が軽くなる、月経量が減る理由

排卵がある通常の生理は、ホルモン量が多いため、子宮内膜は厚くなります。

内膜が厚くなると、それが剥がれる現象である月経の出血量は多く、過多月経や生理痛の原因になります。

ピルを飲むと、排卵がなくなり、活発な女性ホルモンの働きが抑えられる結果、子宮内膜は薄いままです。

薄いままだと出血量は減り、出血を押し出す時の子宮収縮が緩やかになるため、生理痛や過多月経が改善するのです。

PMS(生理前の心と体の不調)がなぜ改善するのか

排卵を伴う生理は、育った卵から女性ホルモンの放出が活発な上に、生理前、生理中、排卵の時期、排卵後でホルモンの量が異なっていて、ホルモンの大きな浮き沈み(波)を作っています。

排卵を伴う生理は、ホルモンの波の変化が大きいので、それがPMSの原因になります。

ピルを飲むと、こうした一連の女性ホルモンの働きが無くなるか緩やかになり、決まった時期に出血(生理)が起きるので規則的になり、ホルモンの変動による体の不調も起こり難くなります。

オンラインでピルを購入することへの注意点

最近、インターネットで簡単に購入できるピルの広告をよく見かけます。

中には、問診や産婦人科医との相談や診察がないまま限られた種類の自費ピルを売っている所や、説明がないまま間違った方法で内服していたり、リスクのある方が説明も無しに知らずに購入されているのも見受けられ、患者さんの満足度はもとより、安全性に疑問を感じることもあります。

また、「ネットでピルを購入したものの困った状況になったので相談したいが、購入先が内服中の相談に乗ってくれない」「診察はやっていない」というお悩みでクリニックを受診する方も多くいらっしゃいます。

その様な方々によくお話を聞くと、とても心配な状況だな、と感じることも多いです。

一方で、忙しいので病院を受診する時間がない、出来るだけ簡単にピルを手に入れたい、など、皆さんの希望もとてもよく分かるので、そういったネット販売が人気なのもよく分かります。

当院ではそうした患者さんの希望に添えるよう、オンライン診療と処方のサービスを行なっています。実際に来院しなくてもオンライン診療で相談できたり、処方が可能です。

(当院が初診の場合は、一度は来院が必要です。詳細はオンライン診療の説明をお読み下さい。)

何か困った時には何でも相談できる産婦人科のかかりつけ医を持ちつつ、相性の良いピルが見つかった後は簡単で便利にピルの継続処方を行う、良いとこ取りが可能です。

当院は産婦人科のクリニックなので、内服中にトラブルが起きたり相談したいことがある時は、受診して頂いて相談や診察が可能なので安心です。

当院で定期的なピル処方をオンライン診療で希望する場合、下記の様なメリットがあります。

  • ピルを選択する際、詳しい問診と診察を踏まえて、どんなピルが合っているか相談できる
  • 保険診療をしているクリニックなので、安価で効果の高い保険適応のピルを手に入れることが出来る
  • ピル内服中に副作用やトラブルなど何か困った時は、オンライン、対面どちらでも、相談や診察が可能
  • 便利にピルを処方してもらいつつ、日常のお悩みや将来的な相談も出来る

最後に:ピルに興味を持ったら、産婦人科的な女性の健康管理にも興味を持ってほしい

生理痛や生理前の体調不良が本当に辛い時、産婦人科に行けば相談したりお薬を一緒に考えたり、症状を良くしたり出来る所だと言うことを知って頂きたいのですが、

皆さん日々お忙しいので、産婦人科的な問題について考えるお時間がなかなか取れず「よく分からないから保留」という状態であまり具体的な対策をされない方々も多く見ます。生理痛などは特に、市販の痛み止めで一先ず見た目上は症状が軽くなるので放っておかれがちです。

また、お若い女子の保護者の方々がご自身の経験から、生理痛はあって当たり前、我慢するものという考えや、ピルは避妊薬でもあるので、まだまだネガティブなイメージがあったり、セックスの経験が多い女の子の使う物という間違った理解や、恐ろしい副作用がある、など、様々な考えのもと、ご本人が症状改善から遠ざかってしまうのもよく目にします。

でも、産婦人科のトラブルは色んな対処法があって、ちゃんと良くすることで勉強にスポーツに仕事にもっと集中したり、生活を改善出来ること、将来の不利益をなくせることを知ってもらいたいと思っています。

病気の有無や状況に合わせて治療法を一緒に考えることで、生理痛やPMSは改善します。ピルは、そうゆう治療の一部です。

女性の一生について、ご自身だけでなく親御さんも一緒に考える機会として、産婦人科のクリニックを使って下さい。ピルに限らず、何か分からないことがあったら、産婦人科のことなら何でもご相談可能です。当院はその様に使って頂くためのクリニックです。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME