性病の心配 :クラミジア・ 淋病・梅毒
うさぎ 女性のための診療所では、
- 一般的な細菌検査
- 性感染症(クラミジア、淋菌、梅毒など)
などの検査を一通り受けることが出来ます。
クラミジア、淋菌、梅毒などの性病は以前よりずっと増えています。
実際に「パートナーが性病が疑われる症状を訴えている」「パートナーが泌尿器科で性病の診断を受けたので自分も診て欲しい」などのご相談はとても多くなっています。
性交渉の経験数に関わらず、性病にかかる人が本当に増えていますから「自分は大丈夫」などと思わず、恥ずかしがらず、心配な場合は必ず検査を受けて欲しいと思います。
性感染症とは
性交渉(セックス)によってうつる病気のことを言います。
性行為をした際に、お互いの性器や血液、精液を介して、病原体がうつります。
風邪の細菌やウイルスの様に空気感染する感染症とは異なり、人が密に接することで感染する病気です。
性感染症の怖いところは、多くの疾患がおりもの異常、発熱、腹痛、などの症状が直ぐには出ないところです。全く無症状なので気がつかず、長期間に渡って感染状態を継続するタイプが多いところです。
セックスによって感染するので、経験数が多い人、新しい出逢いがあり新しいパートナーが出来やすい若い方は、性感染症のリスクが上がります。
しかしながら、相手の過去の性交渉の経験数も関係してくるので、経験数が少ない方も十分に感染のリスクがあります。
性病の感染予防のため、セックスをする際は必ずコンドームを使用しましょう。
予防はとても大切ですが、加えて、セックスの頻度が多い方、パートナーがよく変わる方、性産業従事者の方は、定期的な検査を行うことが勧められています。
いろいろな性感染症
クラミジア感染症
いま一番増えて問題になっている性感染症です。
性器クラミジア感染症は、クラミジアという菌が性行為によって感染して起こります。
感染する場所は、子宮、尿道、咽頭(のど)で、性行為で接触する部位へ直接感染します。
クラミジアの最も嫌な特徴は、ほとんどの方が無症状で経過する点です。
おりもの異常、性器出血、排尿時痛、腹痛などの症状を認める場合もありますが、症状が出る方が少ないのです。症状が出ないので、知らない内にうつし合いっこしてしまうことが感染が拡大し易い理由です。
感染が広がっていくと、子宮外妊娠や将来の不妊の原因になったり、骨盤内の深刻な感染症、稀ですがお腹の上の方まで感染が上がってきて肝臓に炎症を起こすこともあるので、注意が必要です。
知らず知らずの内にお腹の中で感染を拡大させて、将来の妊娠の際に必要不可欠な卵管を潰してしまうこともあります。卵管は一旦潰れてしまうと完全に元通りに治すことは難しく、その点もクラミジア感染症の恐ろしい点です。
検査
- 子宮の場合は、おりものを採取します。
(綿棒で擦るだけの検査なので、痛みはありません。) - 喉の感染にはうがい液を採取します。
クラミジアが疑われる場合は、その他の性感染症の検査も検討しましょう。
特に淋病はクラミジアと同時に感染しているケースが多く、検査も一回で同時に出来るのでお勧めしたい検査です。
セックスの頻度が多い方、パートナーがよく変わる方、性産業従事者の方は、定期的な検査を行うことが勧められています。症状がなくても定期的にクラミジアの検査を受けましょう。
治療&治療後の注意点
- 治療は、抗生剤の内服をします。
基本は1回だけ内服すれば、大抵の場合は治ります。
繰り返しの感染や治り難い方は、別の治療法を試す場合もあります。 - ご自身がクラミジアに感染していることが分かったら、パートナーも泌尿器科を受診してもらい、必ず検査+治療をして貰いましょう。
せっかくご自身が内服して完治しても、パートナーがクラミジアを持っていたのでは、また感染を貰ってくることになり、内服が無意味になってしまうからです。 - 内服後、1ヶ月後に再検査をして、クラミジアが無くなったかどうか、必ず確認しましょう。
感染が無くなったかどうかは、パートナーにも確認して貰いましょう。 - ご自身とパートナー、両方が完治したことを確認するまでは性交渉は控えましょう。
淋菌感染症
淋病もクラミジアと並んで、非常に増えている性感染症です。
1回の性交渉により感染する確率が高く、30〜40%と言われています。
クラミジアと同様、女性はあまり症状はなく、腹部に感染がすすんで腹膜炎の原因になることがあります。
検査
- 子宮の場合は、おりものを採取します。
(綿棒で擦るだけの検査なので、痛みはありません。)
クラミジアと同様の注意点です。淋菌感染が疑われる場合は、その他の性感染症の検査も検討しましょう。
セックスの頻度が多い方、パートナーがよく変わる方、性産業従事者の方は、定期的な検査を行うことが勧められています。症状がなくても定期的に検査を受けましょう。
治療&治療後の注意点
- 治療は、抗生剤の内服をします。
基本は1回だけ内服すれば、大抵の場合は治ります。
繰り返しの感染や治り難い方は、別の治療法を試す場合もあります。 - ご自身が淋菌に感染していることが分かったら、パートナーも泌尿器科を受診してもらい、必ず検査+治療をして貰いましょう。
せっかくご自身が内服して完治しても、パートナーが淋菌を持っていたのでは、また感染を貰ってくることになり、内服が無意味になってしまうからです。 - 内服後、1ヶ月後に再検査をして、淋菌感染が無くなったかどうか、必ず確認しましょう。
感染が無くなったかどうかは、パートナーにも確認して貰いましょう。 - ご自身とパートナー、両方が完治したことを確認するまでは性交渉は控えましょう。
性器ヘルペス
口の周りや外陰部に小さな水ぶくれ(水疱)ができたり、水ぶくれが壊れてただれたりする(潰瘍)病気で、他の性感染症と異なり、初めて症状が出た場合は非常に痛いのが特徴です。
口に感染すると口唇ヘルペス、性器に感染すると性器ヘルペスとよばれます。
単純ヘルペスウイルスというウイルスが原因で、一度感染すると体内から排除することは出来ず、ご自身の体調が悪い場合などに再発してくる、という特徴を持っています。
水ぶくれや潰瘍があったり痛みがある場合は、感染のリスクが高くなります。
症状があれば、自分が感染者だという事やセックスをひかえようと思えますが、単純ヘルペスウイルスは感染を保持している方は結構多く、保持していても必ず症状がある訳ではないので自分が感染者かどうか認識出来ない点と、症状が出ていない時も感染力がある点が、非常に厄介です。
ウィルスが排出されている時に接触すると感染します。キスをした時に口から口へ、セックスで性器から性器へ、オーラルセックスで口から性器へと感染します。
感染は、数週間で発症することもあるし、数年後で発症することもあります。
症状
初めての場合
症状が初めて出る時は、激痛です。
外陰部に水ぶくれができ、水ぶくれが破れるとただれ(潰瘍)に変化して、歩くのも辛いほど強い痛みになります。
再発の場合
その後、ときどき再発を繰り返す方がいます。
体調不良、 ストレス、寝不足など、ご自身の身体が弱った時に再発することが多いです。
再発時は、初めての場合より、症状が軽いことが多いです。
再発時は、前駆症状と言って、外陰部にムズムズと不快感を感じる方もいます。
治療&注意点
- 治療:抗ウィルス薬の内服
- 再発時の対策:自分でお薬を前もって準備しておき、前駆症状が出現したら内服する。
何度も再発する人は再発をしないように毎日お薬を予防的に飲む方法もあります。 - 症状があるときはセックスをひかえる
- コンドームの使用:症状がない時でも感染するリスクがあるため、一度ヘルペスを患ったことがある方は、コンドームを使うことでパートナーへの感染率を下げることができます。
- 妊娠中の方の注意点:妊娠中にヘルペスの症状が出た場合、出産時に赤ちゃんにうつしてしまう可能性があります。新生児のヘルペス感染は深刻です。症状がある場合は、必ず妊婦健診で通院中の産婦人科の先生に相談しましょう。
- 梅毒との鑑別:梅毒も外陰部に潰瘍ができる病気です。昨今、梅毒の感染率は上昇しており、ヘルペスかなと思ったら梅毒検査もしましょう。また、他の性感染症である、クラミジアや淋菌感染の検査もお勧めします。
梅毒
梅毒はスピロヘータという細菌が原因の疾患です。
抗生剤が開発されて、一旦は感染者がかなり少なかったのですが、昨今、急に増加していて問題になっている感染症です。
梅毒は皮膚や粘膜に感染するので、唇や性器に潜んでいます。キスをすれば唇から唇へ、セックスであれば性器から性器へ感染します。感染力は高く、30%ほどと言われています。
今は抗生剤があるので、重症化して死亡するケースは殆んどありませんが、抗生剤が無かった頃は治療出来ないまま進行し、脳や神経、心臓や血管に病変が出現し、多くの方が亡くなっていました。
症状
梅毒は、細菌が排除されず感染が進むと、刻々と症状が変化していきます。
1期梅毒
梅毒に感染するとおよそ1ヶ月ほどの潜伏期間の後に感染部位に潰瘍ができます。ヘルペスと異なり、痛みがあまりないのが特徴です。周囲のリンパ節が腫れることもあります。
2期梅毒
2ヶ月ほど経過すると、感染部位から全身に梅毒が広がります。
手のひらに小さなポツポツとした赤い皮疹が現れます。体に1cmほどの赤い発疹ができることもあります。頭痛、熱、倦怠感のような全身の症状や、外陰部に平らなイボのようなものができることもあります。
1期、2期の間は感染力が高い時期です。
晩期梅毒
今は抗生剤があるので、晩期まで進行することは稀ですが、晩期には皮膚に大きくただれた病変ができたり、神経や心臓、血管に病変が出現します。
晩期は1期、2期に比較すると感染力は低くなります。
検査
- 抗体検査(採血検査)
検査項目:トレポネーマ検査(TPHA)、非トレポネーマ検査(RPR)
治療
- 抗生剤内服(ペニシリン):1ヶ月ほど内服が必要です。
- 内服が終了したら、梅毒が完治したかどうか、採血検査(非トレポネーマ検査(RPR))の再検行います。
尖形コンジローマ
外陰部、膣内、肛門周囲、尿道に、白っぽい小さなカリフラワー状の疣贅(いぼ)が出来る病気です。
痛みは基本的にはありません。
尖形コンジローマはHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染によって起こります。
HPVは皮膚の中にいて、性交渉の際に感染します。
子宮頸がんワクチンは、HPV感染を予防できるので、ワクチンを打てばコンジローマは発症しなくて済みます。
数ヶ月くらいの潜伏期間を経て、コンジローマが発症します。
コンジローマは発症すると、自然に治ることもありますが、HPVは感染を無くすことは出来ないので、HPVに感染している間はまた再発します。
HPV感染は治療は出来ませんが、大抵の方が自然に感染がなくなります。感染がある内は、いつでもコンジローマが再発する可能性があります。
検査
目視で判断します。
治療&注意点
治療法
- ぬり薬(ベセルナクリーム)
- 手術(電気メス、レーザー)
- 冷凍凝固
注意:手術(電気メス、レーザー)、冷凍凝固は当院には設備がありません。
注意点
コンジローマの症状は、イボが出来ることのみで他に症状はなく、ご自身が重症化することもありません。でも、コンジローマができる人、ということは性交渉でうつる他の感染症や子宮頸がんについて、気をつけておく方が良いでしょう。
コンジローマを発症した人は子宮頸がんの原因になるHPVの感染が同時に起きていることも多いので、子宮頸がんの検査を受けましょう。
他の性感染症(クラミジア、淋病、梅毒など)の可能性もあります。特に梅毒は、コンジローマのようなイボができることがあるので、鑑別するためにも検査をお勧めします。