生理前のイライラ、体調不良:月経前症候群 PMS
①PMS(月経前症候群)とは
生理周期の後半(3〜10日前)に精神的、身体的な不調が起きる状態があるとPMSと診断されます。
生理前にイライラしたり落ち込んだり、お腹が張ったり、食欲が変化したり、お肌の調子も悪くなったりする症状は、多かれ少なかれ誰しも経験があるのではないでしょうか。
症状は多彩で、身体的・精神的なもの両方があります。人によって、また月によって、症状の程度はまちまちです。軽度のPMSであれば、女性の70〜80%は経験していると考えられています。
その内、日常生活に支障を来す方は、約5〜8%ではないかと言われています。
症状がある時は「自分じゃないみたい」「どうすることも出来ないほどイライラする、涙が出る」「不安で眠れない」など、とても辛い状態に陥りますが、生理が始まるとこの症状が嘘の様に無くなる点が、他の精神疾患(うつ病など)と異なる点です。
患者さんはよく「生理前の1週間くらいだけ、人が変わったよう」 と仰います。
精神症状が重症で、精神状態が不安定になり社会活動に支障が出ることもあります(約2%くらい)。
その場合は「月経前不快気分障害(PMDD Premenstrual Dysphoric Disorder)」と診断されます。
②症状
精神症状
- 気分が落ち込み易くなる
- 感情の起伏が激しくなる
- イライラ・衝動的な怒り
- 強い不安感
- 涙もろくなる
- 意欲や集中力の低下
- 不眠
身体症状
- 頭痛、片頭痛
- 手足のむくみ
- 乳房の張り・痛み
- お腹の張り・膨満感
- 便秘、下痢
- 疲労感・だるさ
- 肌荒れ
- 食欲が高まる
- 食の嗜好が極端に変わる
③PMSの治療
- PMSは、軽症でも重症でも、自分に何か問題があるのかな、自分は一体どうしちゃったんだろう、という得体が知れない状態に困惑したり不安を覚えるものです。先ずは、ご自身と向き合って、症状を確認してみましょう。ご自身に起きている受け入れ難い症状が「PMSというある種の病気、ホルモンの変化によって起きているんだな」と理解するだけでも、かなり気持ちが楽になります。
- PMSは完全にゼロには出来ない場合もありますが、コントロールする事が可能です。
予防もとても大切です。どんな事がPMSの改善に効果的かと言うと、
*規則正しい生活(たっぷり睡眠をとること)
*食生活(塩分を摂り過ぎない)
*適度な運動
*リラックスすること
*禁煙 - 漢方薬
即効性はないものの、相性が良いお薬が見つかると、PMSのコントロールに有効な場合があります。 - 低用量ピル
低用量ピルを内服するとホルモンの状態が一定になるため、PMSの症状が軽減すると考えられています。上記の方法を試して難しい方や生理痛や過多月経を伴う方、避妊を希望する方は、PMSの改善も図れるので、検討し易いでしょう。